クラウドビジネスに向けたMicrosoftの本音Weekly Memo(1/2 ページ)

Microsoftがまもなくクラウド関連サービスの全容を明らかにする。先週、同社日本法人がパートナー向けイベントでその触りを披露した。一連の動きから垣間見える同社の思惑とは――。

» 2008年10月14日 09時32分 公開
[松岡功ITmedia]

『ソフトウェア+サービス』の正当性を強調

 GoogleやAmazon.comが先行しているとみられているクラウドコンピューティング・サービスで、このところMicrosoftの動きが注目を集めている。今月に入ってスティーブ・バルマーCEOがフランスで行った講演で「クラウドOS」に言及。先週8日には、同社日本法人がパートナー向けイベントでクラウド関連サービスプラットフォームの方向性を示した。

 Microsoftは、今月の最終週にロサンゼルスで開催する開発者会議「PDC(Professional Developers Conference)」でクラウド関連サービスの全容を明らかにするとしていることから、一連の動きはその“本番”へ向けて気運を高めようという思惑があるのは間違いない。

 同社日本法人が8日に都内ホテルで開催したパートナー総会「Microsoft Japan Partners Conference 2008」では、樋口泰行 代表執行役社長が冒頭、「これからはPCがもたらす付加価値とクラウドがもたらす付加価値の連携が不可欠になる。ユーザーからすると、クライアントサイドで動いているものとクラウド上で動いているものがシームレスにつながっていく。そうした利用環境を前提にソフトウェア開発を行っていくのが当社の基本だ」と語り、クラウド時代をにらんだ同社の事業ビジョンである『ソフトウェア+サービス』の正当性を強調した。

Microsoft 「Microsoft Japan Partners Conference 2008」で今後の戦略を語る樋口泰行 代表執行役社長

 また、大場章弘 執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長はその事業ビジョンに基づいたIT利用形態として、「自社運用とクラウド上のホステッドは、どちらが正しいというものではない。最も重要なのは、両方のメリットを合わせてどう最適なところでバランスをとるかだ」と指摘。それを支える次世代技術として、「PC、デバイスからWebに広がるシームレスなユーザーエクスペリエンス」「クラウドを中核としたマルチデバイス間の情報同期・共有」「デバイス、サーバ、そしてクラウドにまたがるプラットフォームと統合開発環境」の3つを挙げた。

 ちなみにユーザーエクスペリエンスとは、ユーザーが「心地いい」「気持ちいい」「面白い」と感じることだ。「これからはユーザーインタフェースというより、ユーザーエクスペリエンスが大きな差別化ポイントになる」と大場執行役はいう。クラウド時代の技術の要としてこの点を第一に挙げるあたりは、いかにもMicrosoftらしいといえる。

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