Googleのブリン氏、Android搭載「G1」スマートフォンを論評

Google共同創業者のサーゲイ・ブリン氏は、Androidを搭載した「T-Mobile G1」スマートフォンに関する自身の見解を明らかにした。一方、Googleのエリック・シュミットCEOは、米国の景気が後退する中にあっても、同社の将来に楽観的な見通しを抱いているようだ。

» 2008年10月22日 07時00分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 AllThingsDigitalのウォルト・モスバーグ氏、The New York Timesのデビッド・ポーグ氏、eWEEKのアンドリュー・ガルシア氏、そしてGoogleの共同創業者であるサーゲイ・ブリン氏の間には共通することがある。

 各氏とも「T-Mobile G1」に関する論評を述べているのだ。G1は、GoogleのモバイルOSであるAndroidを搭載した初のスマートフォンである。

 ブリン氏の論評は、10月16日に行われたGoogleの7〜9月期の収支報告の際に述べられた。同氏はその中でAndroid携帯電話を巧みに宣伝した。ブリン氏は収支報告の電話会見で、財務アナリストとメディア関係者に次のように語った。

 「わたしは数カ月前から、これをメインの携帯電話として使っているが、とても重宝している。これはGoogleのサービスを見事に統合した携帯電話だ。素晴らしいWebブラウザも備えている。まるでデスクトップ使っているような感じでGmailを検索、閲覧することができるのだ。Androidで動作する携帯電話は多数登場する見込みで、G1はその最初の製品にすぎない。当社がOpen Handset Allianceの下で構築した多数のパートナーとの協力関係にも注目していただきたい。皆さんがAndroid携帯電話を試し、自分のニーズに合うことが分かれば、是非とも購入していただきたい」

 ブリン氏の感想は、モスバーグ氏、ポーグ氏、ガルシア氏が10月16日に行ったG1携帯電話に関する評価に比べると内容に乏しいものだ。しかし、G1が自分のニーズにぴったり合うと最初に述べた上で、さまざまなユーザーのニーズに対応する多くの携帯電話が登場すると保証したブリン氏の宣伝の才能には敬服せざるを得ない。同氏はさらに、GoogleのWebブラウザであるChromeの宣伝も行った。GetClickyによると、Chromeは9月1日のリリース後1〜2週間で急速に人気を獲得したが、その後は勢いが衰え、シェアは1.5%程度にとどまっている。

 ブリン氏によると、高速な「V8」JavaScriptエンジンと強力なプロセスモデルを採用したChromeはWebサービス用として最適であり、フリーズしたタブを終了してもブラウザのパフォーマンスが低下することはないという。

 ブリン氏の熱弁は、いつもと同じパターンのGoogleの電話会見の中で特に印象深い出来事だった。米国の景気がさらに悪化する中で、Googleは26%の増益を記録し、広告収入も堅調だと報告した。

 Googleのエリック・シュミットCEOは、Googleには不景気は関係がないとまでは言わなかったものの、「Googleの検索広告ビジネスとWeb上での圧倒的なプレゼンスが、気まぐれな市場における当社の地位を支えている」と述べた。

 「当社はマクロ経済環境に対して非常に現実的な見方をしているが、Googleの将来については楽観視している。Webの持続的なパワーと価値を確信しているからだ。多くの企業がインターネットを利用したターゲット型広告に移行し、情報をより効果的に活用しようとしている。Googleはそれによって大きな恩恵を受ける企業の1社だ。われわれは基本的に、ユーザーが今後も情報を欲し、コミュニケーションを必要とし、広告主は今後も、コンテンツに関連した広告、そして効果を正確に測定できる広告を重視するだろう。これらはもちろん、Googleが得意とする分野だ」

 少なくともシュミット氏は現在、米国の金融危機を認識しており、「全然心配なんかしていない」という姿勢はとっていない。それに、インターネットに関する同氏の論理に反論するのは難しい。人々がインターネットの利用をやめることはないからだ。

 シュミット氏がよく言うのは、コスト意識の高いコンシューマーは、安価な商品をオンラインで探そうとするため、Googleの検索広告を利用することが多くなり、それがGoogleのコアビジネスを後押しするということだ。

 わたしもこの考えに賛成だが、今後、ハイテク分野をはじめとする各業界で多くの人員削減が見られるようになれば、あらゆる求人サイトを探すためにオンラインに集まる人が増えるということも付け加えておきたい。Monsterなどの求人サイト上での広告が急増し、Googleは今後も検索キーワード広告で利益を上げるだろう。

 少しはっきりしないのが、経済情勢がディスプレイ広告にどういった影響を及ぼすかという点だ。この分野はYahoo!がリードしており、GoogleはDoubleClickやYouTubeの買収を通じて事業の拡大を図ろうとしている。ブリン氏は電話会見の中で、「ディスプレイ広告の分野でも今後、適切なユーザーにリーチするターゲット型広告が重要になるだろう」と述べた。

 「ディスプレイ広告は開発とイノベーションの機が熟した分野だとみており、われわれはこの分野向けに優れたツールの開発を続けるつもりだ」とブリン氏は語った。これには、ゲーム、フィード、動画用のAdSenseなども含まれるという。

 Googleはこういったディスプレイ広告技術を統合し、それらがどんなふうに機能するのか示す必要がありそうだ。

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