直感に訴えるメッセージを発信するには職場活性化術講座(1/2 ページ)

リーダーは思いを込めてメッセージしなくてはならない。単なる説明口調で、左脳的に長々と状況分析が客観的にされていても、結論は響くものにはならない。

» 2008年10月28日 15時31分 公開
[徳岡晃一郎,ITmedia]

示す進路を受け取ってもらえているか

 前回までの3回は、「コミュニティ開拓者」としてのリーダーの3つの役割について考えてきた。すなわち、「意義構築者」「ストーリーテラー」、そして「信頼構築者」だ。

 今回からの3回は、リーダーの2つ目のテーマ、「ナビゲーター」についてみていきたい。ナビゲーターとは、組織が向かうべき方向をきちんと分かりやすく社員に示し、社員を駆り立て、目標を達成するまで、後押ししたり引っ張って行く役割だ。このナビゲーターというテーマについても、3つの役割がある。「針路設定者」、「変革のパイロット」、そして「ネットワーク推進者」だ。今回は、まず第一番目の針路設定者の役割についてみてみよう。

 リーダーは進路を示すのは当たり前じゃないか、と思われるかもしれないが、示したと思っても、受け取られなくては意味がない。ここがよくある落とし穴なのだ。針路設定者としてのコミュニケーションをこなすことで、リーダーであるあなたは、みなのベクトルを合わせ、聞いていないとブツブツ言う人を減らし、また、あらぬ方向を向いているシニカルなメンバーも巻き込んでいくことができる。

脇が甘いという演出も必要

 現代社会は情報洪水であり、コミュニケーション洪水である。メールがその洪水を助長している。毎日のメールを処理するだけでも、一体我々は何時間費やしているだろうか。ブラックベリーがないだけ、まだマシかもしれない。そんな中で、自分自身を振り返ってみたとき、社長のメッセージが響く場合とはどんなときだろうか。社長のメッセージと言うだけで、社内報に書かれている通り一遍の話をわれわれは興味を持って見るだろうか。年頭や新年度の社長のスピーチをどれだけ覚えているだろうか。今年のわが社の方針をどれだけ身にしみて実践しているだろうか。

 情報洪水の中では、たとえトップのメッセージであっても埋もれてしまっているのが現実だ。職場でのあなたによる、あなたの部下への発信はどうだろうか。何度言っても伝わらない、理解してくれない、というのは多くの上司の悩みでもある。ますますそういう悩みが増えている。

 調査によると、そんな中で伝わるメッセージの要素には下記のものがあるようだ。

  • メッセージが個人宛になっていた
  • 感情的な共感を呼んだ
  • 信頼できる人、あるいは尊敬できる人からの発信だった
  • 簡潔でよくまとまっていた

 つまり、右脳で直感的に入ってくるメッセージ、すなわち、発信者が思いを込めたメッセージであるかどうかだ。単なる説明口調で、左脳的に長々と状況分析が客観的にされていても、結論は響くものにはならないし、従業員への期待は期待として受け取られない。誰か他の人がやるのだろうと、他人事のように受け止められてしまう。そうした文書やメッセージが効くのは、よほど普段から一緒にいる人たちや左脳が極度に磨かれた能吏たちだ。普通の社員はそうではない。ところが、リーダーであり針路設定者であり、有能な指揮官であることを自認した瞬間に、私たちは「どんな人のいうことが一番聞きやすいのか」という原則を忘れてしまう。それは、「最も信頼の置ける気さくな人」だということだ。ハイコンセプトでいう「右脳」、あるいは「人は見た目が9割」の重要さがここにある。PDCAやロジカルシンキング、MBAばかりに集中すると忘れてしまう人間らしさである。時にはバカになって、脇が甘く、人好きのするタイプを演出することが大事である。右脳型発信力とも言えよう。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ