もう1つ針路設定者が気をつけるべきことは、感受性だ。発信するのは大事だが、受け手の受信能力、受信状態をきちんと考える必要がある。社員が何を聞きたがっているか、どういうことに心配を抱いているのか。これをきちんと把握して対応しないと、すべった発信になってしまう。特に、口コミは早いので、公式見解が著しく遅くかつ内容も旧知のことがらであっては興ざめ。トップや上司の真意や姿勢を疑われてしまう。社員の関心を知る受信能力を鍛えよう。そのためにも日頃からの現場廻り、あなたの右腕君からの情報収集が欠かせない。
最後に、針路設定者の大切なコミュニケーションスキルをいくつ掲げておこう。
このようにあの手この手で、組織の針路を執拗に発信していくことがなければ、組織は決して思うようには動いてはいかない。そのためにはコミュニケーションのための体力も必要だ。秋のスポーツシーズンには、ぜひコミュニケーション基礎体力のアップにも努力したいものだ。
とくおか・こういちろう 日産自動車にて人事部門各部署を歴任。欧州日産出向。オックスフォード大学留学。1999年より、コミュニケーションコンサルティングで世界最大手の米フライシュマン・ヒラードの日本法人であるフライシュマン・ヒラード・ジャパンに勤務。コミュニケーション、人事コンサルティング、職場活性化などに従事。多摩大学知識リーダーシップ綜合研究所教授。著書に「人事異動」(新潮社)、「チームコーチングの技術」(ダイヤモンド社)、「シャドーワーク」(一條和生との共著、東洋経済新報社)など。
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