「プライベート」クラウドコンピューティングが人気上昇中内輪ゆえの強固なセキュリティが強み(2/3 ページ)

» 2008年11月07日 08時00分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

プライベートストレージクラウドの最大の魅力はコントロール

 Storage NetworksやSANRISE(日立が買収)などの初期のオンデマンド型ストレージ企業は、2000〜2003年のITバブル崩壊で大きな打撃を受けた。

 クラウドストレージソフトウェアプロバイダー、ParaScaleのサジェイ・クリシュナンCEOは「これらは基本的に、Exodusなどのインターネットサービスプロバイダーにストレージシステムをセットアップするというものだった。彼らの多くは、EMC製品などの大規模なストレージを用意し、それを分割して企業顧客に提供した。これが“第1世代”のクラウドストレージだった」と話す。

 「これがうまくいかなかったのは、この種の“クラウド”環境に置かれた本格的なデータストレージを買いたいという企業がなかったことだ。当時は“クラウド”と呼ばれてはいなかったが」とクリシュナン氏は語る。

 オンラインストレージサービスはその後、大きく進化した。EMC傘下のMozy、Carbonite、Box.net、Amazon S3、CommVault、SeagateのeVault、Iron Mountain Digitalなどの企業が、コンシューマー向けバックアップビジネスで競争している。

 ビジネス分野では、ParaScale、Nirvanex、Cleversafeといった企業がそれぞれの地盤を確保し、自社のプライベートクラウドの構築を目指しているWeb 2.0企業を支える存在となっている。

 「プライベートクラウドを構築する理由は非常に単純だ。コントロールとセキュリティが存在するからだ。わたしもクラウドがファイアウォールの内側にあるのを望む。社内の人間がそれを管理する方がいいからだ」とクリシュナン氏は話す。

 クリシュナン氏によると、AmazonのオンラインストレージサービスであるAmazon's Simple Storage Service(S3)は非常によくできたサービスだが、「規模が巨大であるために、ときどき不具合が発生する」という。「S3のITシステムで問題が起きた場合、ユーザーにとっては解決の見通しが立たない。しかし自社専用のクラウドを保有すれば、何が起きているのか正確に把握することができる」と同氏は話す。

 「どのソフトウェアバージョンを導入したのか、どのサーバが満杯になってきたのかといった状況をすべて把握することが可能だ」とクリシュナン氏は語る。

 では、企業のIT部門が自社のクラウドの構築を検討する必要があるのは、どのような場合だろうか。

 「現在、20〜30テラバイトのデータがあり、それが毎年10〜20テラバイト増加しているのであれば、自社専用のクラウドを持つことを検討すべきだ。これはクラウド導入の最低条件だ。データ量がもっと少なく、増加率もたいしたことがないのであれば、12〜24テラバイトの容量のアプライアンスが多数出回っているので、そういったものを購入するだけで十分だ」(同氏)

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