米国防諮問機関、オバマ氏にサイバーセキュリティ対策要請

ブッシュ大統領は「National Cyber Security Initiative」を進めていたが、「高度な脅威に対抗するサイバーセキュリティ改善策はほとんど進んでいない」と国防科学評議委員会は報告している。

» 2008年11月07日 13時28分 公開
[Roy Mark,eWEEK]
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 米大統領に選ばれたバラク・オバマ氏は、米国の文民および軍事情報インフラに対する高度なサイバー攻撃への懸念を強める国防総省を引き継ぐことになる。国防科学評議委員会はこのように報告している。

 国防長官に独立した助言を提供するために設置された同委員会は11月4日の報告書「Defense Imperatives for the New Administration(PDF)」で、ブッシュ大統領の「National Cyber Security Initiative」の下、サイバーセキュリティに関する多数の研究が進められ、予算も整備されているが、もっと多くの取り組みが必要だと述べている。このイニシアチブは1月に始まり、今後7年間で300億ドルを投じる見込みだ。

 「高度な脅威に対してサイバーセキュリティ改善策を実施するという点では、実際にはこれまでほとんど進展がない」と報告書には記されている。「敵対勢力が使える選択肢は多岐にわたる」

 特に報告書では、コンピュータ、兵器システム、ネットワークの周辺に侵入防止のためのデジタルフェンスを設置する「境界防衛」のアプローチを取り上げている。

 「境界防衛が、高度な攻撃によってほぼ常に、また時にはそれほど高度でない攻撃によっても破られることは何度も示されてきた」と報告書にはある。「米国には非常に優秀な専門家がいる。彼らにわれわれのシステムへの侵入を頼んだ場合の成功率は100%だ」

 国防科学評議委員会は新政権に、「サイバー防衛を改善するための、よく理解できる目先の対策の実施を早める」ことを勧めている。こうした対策には、不審な動きを検知する自動化されたツールやアルゴリズム、重要システムのハードとソフトのアップグレード頻度の増加、問題が起きたネットワークから独立した通信経路を使ってネットワークを再構成する手段の確立などがある。

 同委員会はまた、監視、通信、ナビゲーションサービスが大きく依存している宇宙セキュリティ資産に関する懸念も表明している。

 「多くの防衛策は長期的に実施する必要があるが、宇宙の状況認識の改善を当座の第一歩とすることを勧める」と同委員会は述べている。「われわれの宇宙資産への脅威が何であるか、どこにあるのか、何をするのかを理解することが、ほかの防衛対策の基礎となる」

 ブッシュ政権はセキュリティ専門家から、サイバーセキュリティに重点を置いていないことや、政府のサイバーセキュリティ担当官の権限を弱めたことで批判されてきた。

 だがオバマ氏は7月に「大統領として、サイバーセキュリティを21世紀に最優先すべき課題とする。われわれのサイバーインフラは戦略的資産であると宣言し、わたしの直属として国家的なサイバー顧問を任命する」と語っていた。

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