COBOLをクラウドに入れるMicro Focus導入コストの削減に期待(2/2 ページ)

» 2008年11月18日 08時46分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK
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COBOLアプリケーションの延命

 Micro Focusは7月、自社のWindowsベースの技術ポートフォリオ(Net Express、SOA Express、Enterprise Serverなどの製品)を拡大し、Microsoft .NET Framework、SQL Server、Team Foundation Server、BizTalk Server、System Center Operations Managerのパワーを最大限に活用する64ビットの管理コード型ソリューションを顧客に提供すると約束した。

 MicrosoftでWindows Server担当ゼネラルマネジャーを務めるビル・ヒルフ氏は「Micro Focusと共同作業を行うことにより、自社のモダニゼーション戦略でWindowsプラットフォームを選ぶメインフレームユーザーが得られる価値を高めるとともに、彼らが配備コストを削減するのを支援するという形でROIを改善している」と話している。

 ヘイニー氏によると、7月の発表の一部は「MicrosoftのSQL ServerをDB2のように見せることにより、顧客のコードの変更を求めなくても済むようにすること」に関するものだという。「これはAzureクラウドで有効だ。メインフレームのアプリケーションがそのまま、Azureクラウドの中で動作できるからだ。これにより、ビジネスアプリケーションからはDB2と通信しているように見えるが、実際にはクラウドベースのサービスと通信することになるのだ」と同氏は話す。

 一方、ギルピン氏は、「アプリケーションをクラウドに移行する、このアプローチの素晴らしいところは、開発者がCOBOL(あるいはPL/I)やメインフレーム環境に精通していなくても、新しいツールや開発手法を学べるということだ」と話す。

 「このクラウドサポートのおかげでCOBOLが復活するとは思わないが、経済性が改善されることで既存のCOBOLアプリケーションの寿命が伸びるだろう」(同氏)

 ヘイニー氏は「Micro Focusが技術を完成させた時点で、AzureやAmazonのようにサブスクリプションベースもしくはソフトウェアライセンスベースの価格を明らかにする予定だ。これは当社の顧客にとって関心があるところだ。彼らは新しいライセンスやサーバの購入が必要とされる方式よりも、利用量に応じた価格設定方式を望んでいる。これは、クラウド現象で最も重要な部分だ――すなわち、IBMから処理能力を新たに購入しなくてもクラウド内でアプリケーションを運用することができ、必要に応じて拡大・縮小できるということだ」と述べている。

 ここで浮かぶ疑問は、COBOLなどのメインフレームシステムがクラウドに移行することが結局、IBMにとってメインフレームの販売拡大にブレーキをかけることにならないかということだ。IBMによると、同社のメインフレームビジネスは数四半期連続で拡大しているという。

 COBOLアプリケーションをクラウドに移行することに関して、ギルピン氏は「いずれ、メインフレームの成長を減速させる可能性がある」と話す。「しかしこの影響は、非常に長い期間をかけて徐々に進むため、市場のほかの変化の陰に隠れる格好になると思う。またIBMはこれまで、競争的な環境によって必要に迫られると、斬新なアイデアで顧客にとってコストを下げる手段を見つけ出してきた。メインフレームの死を宣告した過去の多くの予言が時期尚早だった理由もそこにある」

 加えて、IBMでは自社のクラウドコンピューティング環境を持っており、それを強化している。このため、IBMのメインフレームビジネスにリスクがあるとしても、同社自身のクラウド製品がそれを十分に相殺する可能性が高い。

 「しかしこういった現代化を進めるユーザー企業にとっての主要な潜在的リスクは、将来にわたって、これらのアプリケーションをサポートするためのCOBOLスキルをずっと確保できるのかということだ」とギルピン氏は指摘する。

 「COBOL開発者は以前ほど多くはないが、Javaなどの最近の言語でプログラミングを学んだ大学新卒者に対象としたCOBOLトレーニングの成功例は多いので、この問題についてはあまり心配していない。COBOL開発者に対する市場が存在するのであれば、何らかの形で供給が続くだろう」(同氏)

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