インストール済みUbuntuのクローンを新しいハードディスクに作成するLinux Hacks(1/2 ページ)

PCを使っていくと、どこかでHDDの増設という一大イベントを迎える機会に恵まれる。新たなHDDを起動ドライブとしてOSをクリーンインストールするのもよいが、UbuntuならHDD全体のクローンを簡単に作成できる。Windowsとのデュアルブート環境でも問題ない。もちろん、その大半はGUIで行える。

» 2008年11月20日 00時00分 公開
[Keir Thomas,SourceForge.JP Magazine]
SourceForge.JP Magazine

 システムのHDDを新しいものに交換し、それを新たに起動ディスクとしたい場合があるだろう。Ubuntuのクローンを別のHDDに作成するのは容易だ。Ubuntuでは、HDD全体のクローンを作成するツールが提供されている。Windowsパーティーションがある場合は、それも含めてクローンを作成する。実はこのような基本作業は、Linuxの得意とする分野なのである。

本記事は、最近出版された書籍『Ubuntu Kung Fu』から引用されたものであり、出版社Pragmatic Programmers, LLC了承の下、掲載している。

 なすべきことは3つである。まず、UbuntuによるHDDの参照名を調べなければならない。2つめは、ddrescueをインストールし、これによってディスクをクローンすることである。ddrescueによるクローン作成を終えたら、最後にGPartedユーティリティを用いてディスクパーティーションを拡張する(新しいディスクが古いものよりも大きいと想定している。ほとんどの場合、そもそもそれがディスクを交換する理由だからだ)。

 使用中のHDDをクローンしてはならない(走行中の自動車を修理するのが好ましくないのと同じだ)。従ってUbuntuのインストールCDのライブディストリビューションモードを使用する必要がある。以下の作業を行うには、UbuntuのインストールCDから起動し、起動メニューで「Try Ubuntu」を選択する。

 以下のすべてのステップが、UbuntuのインストールCDのライブディストリビューションモードで実施されることに注意してほしい。最後にクローンディスクをテストするときまで、作業の途中で標準インストールのUbuntuから起動することはない。

クローン作成のための準備

 クローン作成を始める前に、その準備として次の3つの作業をしておくことをお勧めする。まず、大切なすべての個人ファイルをCD、DVD-R/RWディスク、USBメモリ、または外付けのHDDにバックアップする。以下の作業では、基本的なディスク管理状態が抜本的に変更されるため、データが失われる可能性がある。

 2つめに、元のHDDのファイルシステムにエラーがないかチェックし、もしあれば修復しておくとよいだろう。Windowsファイルシステムの方もエラーがないかチェックしておくことが望ましい。

 3つめに、USBメモリ、カードリーダー、MP3プレーヤーや携帯電話などの着脱式ストレージをすべて取り外す。これらが接続されていると、パーティーション作成時に紛らわしいからだ。

 前記の準備作業を終えたら、ターミナルウインドウを開き、「sudo fdisk -l」と入力する。これは、すべてのHDDをスキャンし、そのパーティーションを列挙するコマンドである。今回のテストシステムにおけるこのコマンドの実行結果を以下に示す。


Disk /dev/sda: 81.9 GB, 81964302336 bytes
255 heads, 63 sectors/track, 9964 cylinders
Units = cylinders of 16065 * 512 = 8225280 bytes
Disk identifier: 0x1c381c37

Device Boot Start End Blocks Id System /dev/sda1 * 1 4742 38090083+ 7 HPFS/NTFS /dev/sda2 4743 9964 41945715 5 Extended /dev/sda5 4743 9744 40178533+ 83 Linux /dev/sda6 9745 9964 1767118+ 82 Linux swap/Solaris
Disk /dev/sdb: 120.0 GB, 120034123776 bytes 255 heads, 63 sectors/track, 14593 cylinders Units = cylinders of 16065 * 512 = 8225280 bytes Disk identifier: 0xb94838a4
Disk /dev/sdb doesn't contain a valid partition table

 前記の実行結果には、2つのHDDに関する情報が表示されている。それぞれ「Disk /dev/sda」と「Disk /dev/sdb」で始まり、その下にディスクに関する技術的情報が続き、その下にそのディスクのパーティーションが列挙されている。

 今回のテストコンピュータでは、/dev/sdbが新しいHDDであることがすぐに分かるだろう。パーティーションがないからだ(「doesn't contain a valid partition table(有効なパーティーションテーブルがありません)」と表示されている)。/dev/sdaの方は、Ubuntuシステムの標準的なパーティーションに分割されている。読者のパーティーションも、これとまったく同じではないとしても似たようなものであるはずだ。

 新しいHDDの参照名を探し、メモしておく。前記の場合は/dev/sdbである。次に「sudo cfdisk -z /dev/sdb」と入力して、パーティーション分割プログラムcfdiskを起動する。これにより初期パーティーションテーブルがディスクに書き込まれる。先ほど調べた新しいHDDの参照名が/dev/sdbではない場合は、/dev/sdbの代わりにその参照名を使用する。cfdiskを起動したら、W(Shift+w、つまり大文字であることに注意)と入力し、空のパーティーションテーブルを作成するかというプロンプトに対しyesと入力する。最後にqを入力してcfdiskを終了する。細かいエラーが幾つか表示されるが無視してよい。

ディスクのクローン作成

 新しいディスクの参照名が分かったところで、ddrescueをインストールし、ディスクのクローンを作成する。ddrescueはデフォルトのシステムツールではないため、インストールしなければならない。コンピュータはUbuntuインストールCDのライブディストリビューションモードで稼働中だが、その状態でも、オンラインリポジトリから新たにソフトウェアをインストールできる。ただしその前に、「Universe」ソフトウェアリポジトリを有効にしておく必要がある(もちろんNetworkManagerによってオンライン接続しておくことも必要である)。[システム] → [システム管理] → [ソフトウェアソース]を選択し、[コミュニティーによるメンテナンスされるオープンソースソフトウェア(universe)]の横のチェックボックスにチェックを入れる。次に[閉じる]ボタンをクリックし、ソフトウェア一覧を更新するかというプロンプトが表示されたらyesと入力する。

 その後、「sudo apt-get install gddrescue」と入力し、ddrescueをインストールする。

 ddrescueに対しては、まず古いHDDを指定し、次に新しいHDDを指定する。-vオプションを指定すると、コマンドの進行状況に従ってステータスが表示される。


$ sudo ddrescue -v /dev/sda /dev/sdb

 古いディスクと新しいディスクの指定順序を間違えないことが非常に重要である。逆に指定すると古いディスクのデータが上書きされる恐れがある。

 クローン作成の完了までには、元のHDDのサイズにもよるが、おそらく1時間かそれ以上かかるだろう。クローンを作成したらコンピュータをシャットダウンし、古いディスクを取り外し(次の作業へと進む前に必ず古いディスクを取り外すこと!)、クローンしたコピーから起動して、動作をテストする。Windows XPやVistaを使用している場合は、Windows Genuine Advantageシステムが新しいHDDを認証せず、オンラインでの再検証が必要となるかもしれない。もちろんUbuntuではそのような問題は生じない。

 すべてが正常に動作することを確認したら、次のステップに進むことができる。つまり、大きくなったHDD容量に合わせて、パーティーションを拡張する。

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