Microsoftが感謝祭に感謝すべき10のこと

Microsoftはビル・ゲイツの引退に感謝し、Yahoo!のジェリー・ヤンCEOにギフトを贈るべきだ。

» 2008年11月28日 15時10分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 今年もまた感謝祭がやってきた。そしてMicrosoftには感謝するべき理由がまた新たに10個できた。

 過去2年(昨年一昨年)と同様に、Microsoftが感謝するべきもののリストをまとめた。重要度の一番低い第10位からお届けする。

10. 「I'm a PC」:個人的にはこの広告キャンペーンは大失敗だと思うのだが、それはわたしだけだ。もっと大事なのは、MicrosoftがWindowsを宣伝しているということだ。ありがたく思うべきことだ。もっとも、Microsoftと広告代理店は「I'm a PC」が口コミ的に広がると期待したかもしれないが、そうはなっていない。Microsoftには気を悪くしないでほしいのだが、バラク・オバマ次期大統領の「Yes, we can」の口コミマーケティングの方が成功している。

9. 2008年五輪大会:北京五輪とNBCとのコンテンツ提携がなければ、Microsoftは短期間でこれほど多くの人にSilverlightをダウンロードしてもらうことはできなかっただろう。4000万人を超える人がNBCの五輪サイトにアクセスして、その大半がSilverlightを必要とした。Microsoftは今、4台に1台のPCにSilverlightがインストールされていると主張している。NBCが五輪後のスポーツ大会の配信でSilverlightを捨ててFlashを選んだのは非常に残念だ。

8. ビル・ゲイツのセミリタイアMicrosoftの会長にして共同創設者は非常に優秀なオタクで素晴らしい慈善家だが、もうMicrosoftにはふさわしくない。ビルには存在感があり過ぎる。法王が地域の教会をうろうろしているようなものだ。法王がいると司教や神父は何もできない。ビルの退位で幹部ヒエラルキーの上の方に多少の空きができ、中年を迎えたMicrosoftの血管に新しい血を注ぎ込める(たとえがごちゃ混ぜで申し訳ない)。

7. Azure Services Platform:1カ月前、Microsoftはついに待望のWebサービスプラットフォームを発表した。Azureをすぐにビジネスに使えるわけではない。現実的に考えれば2010年あたりだろう。だが、Azureは発表され、文書化されている。開発者はこのプラットフォームに取り組み始めている。Azureは本当に先見の明があり、進捗によっては、来年のリストでもっと上位に入るかもしれない。

6. PDCとWinHEC:今年のProfessional Developer Conferenceはこれまでで特に成功した部類に入ると言える。その翌週のWindows Hardware Engineering ConferenceはPDCほどメディアに注目されなかったが、こちらも非常に重要だった。いずれのイベントも、Microsoftが開発者からの信用――PDC 2005以降、Vistaに関する一連の失敗で崩壊していた――を再び確立する一助となった。MicrosoftがPDC 2003の後でLonghornの開発をリセットし、その2年後、PDC後にVistaのリリースを延期したことも興味深い。どうか素晴らしかった2008年のPDC後に、Windows 7に関する無用のサプライズ発表がありませんように。

5. 銀行にある現金:この景気後退時に、250億ドルの現金保有に勝るものはない。Microsoftは会社を買収することも、自社株買いをして株主を喜ばせることもできる。だが、どうしてMicrosoftが史上初めての借金をするのか疑問に思わざるを得ない。貯金に付く利息の方が、借金に付く利子よりも多いのだろうか? ともあれ、そのお金で自分にすてきなクリスマスプレゼントを買うのはどうだろう。新興企業を1社か2社買ってみるとか。

4. Windows 7チーム:MicrosoftのWindows 7担当チームは非常にいい仕事をしている。もちろん、まだ多くの取り組みが必要だが、「Windows Vista」が出発点だったことを考えれば驚くほどの進展だ。PDCのデモはすごかった。Engineering Windows 7ブログは、Microsoftの新たな透明性の基準を打ち立てている。誰かがVistaのリブートボタンを押して、Vistaが7になって戻ってきた。今のところ、ブロガー、顧客、ファン、ジャーナリスト、パートナーの7のプレβ版への反応はVista SP1よりもずっといい。

3. 米Yahoo!のジェリー・ヤンCEO:Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは今年の休暇シーズンにジェリーに豪華なギフトバスケットを贈るべきだ。ジェリーが抵抗しなければ、Microsoftは2月か3月に446億ドルでYahoo!を買収し、ほとんどお金を使い果たしてしまって、100億ドル以上の借金が必要になっていただろう。世界経済が一夜にして崩壊したかのような9月の金融危機のさなかに、MicrosoftはYahoo!の事業統合の初期段階にさしかかっていたはずだ。そして1株31ドルは払い過ぎだったと気付いただろう。Yahoo!の11月26日の終値は10.58ドルなのだから。現金はほとんど残らず、統合には労力がかかり、Microsoftは確実に厳しい状況に陥っていたはずだ。スティーブ、まじめな話、ジェリーはこの件で愚行に走ることで、君にとてもいいことをしてくれた。

2. Software Assurance:もしも年金方式のライセンス契約が今もMicrosoftの役に立っていると思っている人がいるなら、多額の冬ボーナスをもらうに値する。2001年5月に発表されるなり、すぐに顧客に嫌われたSoftware Assurance(SA)は、企業がMicrosoft製品を購入する方法、Microsoftがその売り上げを計上する方法を恒久的に変えた。SA顧客は2〜3年のアップグレード保証契約を結び、Microsoftはソフトウェアの価格の29%(サーバ製品の場合)または25%(ほかの製品の場合)を毎年受け取る。同社はこれを前受収益として計上する。この収益は通常、同社の四半期売上高の25%以上を占めている。

 このライセンス方式のおかげで、不況のさなかでも、Microsoftは既に四半期決算の売上高の大部分を銀行に現金として持っている。同社はSAによって、他社なら打ちのめされるような経済的打撃に対して驚くほどの回復力を持っている。年金式ライセンスはMicrosoftの売上高の約40%を占めている。また、既存のSA顧客は既にMicrosoftの最新ソフトを利用する権利を持っており、多額の追加料金を払わなくても導入できる。これは顧客とMicrosoftの双方とってメリットがある。

1. Googleの災難:日常生活では他人の苦境や災難を喜ぶのは道徳上よろしくない。だが、ビジネスではライバルの不運はめでたい――部下を連れて飲みに行くときだ。今年、Googleほど大きく転落した大手IT企業はない。確かにGoogleは利益を出していて、Web検索で圧倒的優位に立ち、他社よりもオンライン広告でもうけている。だが、世界的な金融危機は、Microsoftが付けられないような傷をGoogleに負わせた。Googleは突然、それほどタフではなくなった。

 1年前、Googleの株価は741ドルを超えていた。11月26日の終値は292.09ドルだ。強かったGoogleは転落した。アナリストは以前からオンライン広告支出の減少を予測しており、それはMicrosoftよりもGoogleに不釣り合いなほど大きな影響を及ぼすだろう。Googleは売上高のほとんどを検索関連のオンライン広告から得ている。これに対し、Microsoftのオンラインサービス部門は赤字で、不況下では悪化するよりも良くなる可能性の方が高い。Googleには失うものがたくさんある。

 Googleは、株価が上がっていて広告売り上げも急成長しているときなら悪いことをしなくてももうけられると自慢できる。だが状況が厳しくなると、Googleのブランドやイメージを損ねるような不適切な(例えば、邪悪な)決定につながる可能性もある。そう、Googleにとって悪いことは、Microsoftにとって良いことだ。Googleは従業員の福利厚生を削減しなければならないだろう(クリスマスパーティー縮小なんて気の毒に)。それから非正規社員――おそらくはその中の1万人――のレイオフも行われており、正社員の作業負荷が高まることになる(20%プロジェクトが減るのは残念だ)。さらに、Googleが最高の人材を雇うのも難しくなるかもしれない。

 Googleが崩壊しつつあるということはない――崩壊とはほど遠い。だがスティーブ・バルマーとMicrosoftには、GoogleとWeb2.0新興企業がMicrosoftに対して、「地球が静止する日」でゴートが地球にしたようなことはしないだろうという現実的な希望が出てきた。

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