シマンテックとJi2、電子証拠の開示支援サービスで協業訴訟リスクに対応

シマンテックとJi2は、企業訴訟などで証拠として必要になる電子データの調査や開示に伴う支援サービスを提供する。

» 2008年12月08日 17時31分 公開
[ITmedia]

 シマンテックとJi2は12月8日、企業訴訟などに証拠として必要になる電子データの調査や開示を支援するサービスを始めた。米国に進出している日系企業の訴訟対応を対象に提供する。

 2社が提供するのは、製造者責任や知的財産などを巡る企業訴訟での電子データの証拠開示を支援する「日米訴訟支援サービス」と、企業訴訟などに備えて事前に企業システムに潜むリスクを調査する「フォレンジック調査サービス」の2種類。

 シマンテックは、証拠となる電子データの記録保全や訴訟対応計画の策定、システム環境の調査のほか、訴訟に備えた企業ポリシーの策定支援やデータ管理業務プロセスの構築支援などを提供する。Ji2は、証拠となるデータの調査や分析、調査関連ツールなどを提供する。

フォレンジック調査サービスの概要

 Ji2の藤澤哲雄社長によると、近年は米国市場に進出している日系企業が被告となる訴訟が増加し、裁判では電子メールやデータ操作の履歴、インターネットの通信記録といった訴訟に関連する電子データの提出が州によって義務化されつつある。さらに、企業買収に伴う電子資産の査定や内部通報に伴う調査、退職者による機密情報の持ち出し調査といったニーズも増加しているという。

 藤澤氏は、「年間売上高1000億ドル以上の米国企業では常時143件の訴訟を抱えているというデータもあり、日系企業にとって他人事ではない。電子証拠の開示には膨大なコストがかかるため、訴訟やITに詳しい専門家に依頼するケースが増えている」と話した。

 Ji2は2001年に米国で設立され、フォレンジック調査を専門に手掛けているという。「日系企業が訴訟になるケースは大きなもので数カ月に1件、小さなものを含めると月間2〜3件ほどある」(藤澤氏)という。

 同社では、オンライン経由で遠隔から証拠となるデータを抽出する手法も導入。通常の調査では改ざんされないようにPCやサーバを隔離して専門担当者がデータを抽出するが、同社の手法ではPCやサーバを稼働させたままデータを抽出でき、遠隔地のシステムからも抽出できるとしている。

 シマンテックでコンサルティングサービスを担当するテルミ・ラスカウスキー執行役員は、「米国ではサービスを提供しており、訴訟に備えた組織体制やシステムの構築からリスクの現状把握、実際の対応プロセスまで広範に支援できるだろう」と話した。

 サービスの参考価格は、日米訴訟支援サービスが1000万円から、フォレンジック調査サービスが100万円から。初年度に合計で55件の利用を見込んでいる。

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