グリーンITをとらえる2つの視点Weekly Memo(1/2 ページ)

先週、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された環境展示会は、大盛況だった。同展でもテーマの1つとして注目されていた「グリーンIT」の今後について考察しておきたい。

» 2008年12月15日 08時29分 公開
[松岡功ITmedia]

ますます高まる環境問題への意識

 「パソコンは、ほとんどが食材になるアンコウと同じです」

 NECブースで行われていたパソコンの解体実演では、説明員がこう言いながらパソコンを構成する各部品から回収できる資源について紹介していた。先週11日から3日間、東京ビッグサイトで開催された「エコプロダクツ2008」(主催:産業環境管理協会、日本経済新聞社)のひとコマである。

 国内最大級の環境展示会として、環境に配慮した製品やサービスを一堂に集めたこのイベントには、産業界だけでなく、政府・自治体、民間団体、大学・研究機関など幅広い出展者(758社・団体)が名を連ねた。出展内容もエネルギーから素材、食品、日用品、家電、自動車、文具・事務用品、小売など多岐に渡り、グリーンIT関連製品の展示・実演も数多く見ることができた。

 今回で10回目を数える同展は、これまでの実績に加え、とくに今年は7月に開かれた主要国首脳会議(洞爺湖サミット)などをきっかけに地球温暖化防止に対する意識が一層高まったこともあって、その盛況ぶりには目を見張るものがあった。

 ただ、グリーンITに関していえば、筆者は少々気になる点があった。それを説明するうえで勘所となる「グリーンITに対する2つの視点」についてまずひもといておこう。

環境展示会「エコプロダクツ2008」のNECブースで行われていたパソコンの解体実演

 グリーンITが注目されている背景には、昨今のIT化の進展によって、IT機器による消費電力の増加に拍車がかかっていることがある。経済産業省はこのままのペースでIT機器の利用が進めば、その消費電力量は2025年に2400億kWhに達すると予測している。これは現在の約5倍にあたる数値であり、IT機器の省電力化が急務の課題であることは明らかだ。

 一方、これからグリーンITを推進していくことで、2025年時点の消費電力量を、現状の技術のまま推移した場合と比べて1000億kWh削減できるという試算結果も出ている。グリーンITが注目される理由は、まさしくここにある。

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