ITmedia SaaSやクラウドの普及で、企業の情報利用や管理のあり方が大きく変わろうとしています。
加賀山 情報はオープンなものでなければ非常に使い勝手の悪いものになります。同時に企業としては厳重に管理しなければならない。この矛盾をどう乗り越えていくかが今後の企業のIT経営にとって大きなチャレンジになると思います。
例えば、米国企業のCIOが頭を悩ませている課題の1つに、情報化社会の申し子とも言える18〜22歳の若い世代に対する情報管理をどのように実現させればよいかというものがあります。彼らは会社から支給されたPCであっても、休憩時間には「好きなサイトにアクセスしたい」「好きなアプリケーションを自由に使いたい」といった意識を強く持っており、従来の企業における情報管理の概念を理解してもらうのが難しい世代だといわれます。
厳しく制限すれば優秀な人材を獲得できないというジレンマもあり、すでに米国企業の30〜40%では、仕方なく「個人のPCを勝手に持ち込んでいい」といった対処をせざるを得なくなっているとも聞きます。ポリシーなどで業務時間には仕事に集中させるようにしているケースが大半ですが、今後こうした世代が台頭すれば企業は新たなIT環境を整備する必要が出てくるでしょう。携帯電話の公私の利用をどう管理するかという課題があるように、日本も数年先にはこうした課題が顕著になるかもしれません。
情報管理という点ではシンクライアントが1つの解決策としてありますが、もう1つの策として「クライアントの仮想化」というアプローチもあります。業務に必要なアプリケーションやデータを個人PC内で仮想的に実行する環境を用意すれば、企業は若い世代の「端末を自由に使いたい」というニーズと企業として管理すべき情報の保護を両立できるようになるでしょう。
また、SaaSの主役はCRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援)アプリケーションですが、今後はインフラ周りのバックアップやリカバリなどでも求められるようになります。われわれもこうしたニーズに対応できる準備を進めているところです。
ITmedia 個人では今年どのような目標をお持ちですか。
趣味でフルマラソンにチャレンジしていますが、今年は出場機会を増やしたいと思います。夫婦で出場することもありますが、二人三脚で挑戦することはとても生きがいですよ。なるべく完走できるようにがんばりたいですね。
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