企業ITサービスを支えるブレードサーバ

x86サーバ・バトルをIT需要喚起のバネにWeekly Memo(2/2 ページ)

» 2009年01月13日 05時27分 公開
[松岡功ITmedia]
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次の攻めのIT投資にシフトするチャンス

 日本HPの大幅値下げをはじめとした攻勢で、x86サーバ市場が一層激戦区になるのは間違いない。IDCによると、国内サーバ市場全体の中でx86サーバは出荷金額で47.1%、出荷台数で93.7%(いずれも2007年下半期実績)を占めるだけに、x86サーバ市場が活気づくとIT市場全体へも大きな波及効果をもたらすだろう。

 だが、そのx86サーバも、2008年第3四半期には出荷金額で前年同期比9.9%減と落ち込んだ。x86サーバの出荷金額が5%を超えるマイナス成長となったのは、2002年第4四半期以来23四半期ぶりだという(IDC調べ)。

 さらに今回の日本HPの発表と同じ8日、IDCが2009年の国内IT市場の前年比伸び率を、従来予想の0.9%増から1.7%減に下方修正すると発表した。経済環境の急速な悪化が企業の投資活動を抑制し、IT分野においてもその影響を免れることはできないという。

 このIDCの下方修正については、日本HPの会見でも、同社のエンタープライズ ストレージ・サーバ事業を統括する松本芳武執行役員が話題にあげた。

 「実際にビジネスを行っている立場から言うと、時間が経過するほど市場は(IDCの予測より)もう少し厳しい状況になっていくと実感している」

 こう聞くと暗くなるばかりだが、ではどうすればIT投資を喚起することができるのか。

 松本執行役員は、IDCが2008年12月に国内企業を対象として行った調査の中から「世界金融危機の影響による予算削減対象項目」に着目。人件費、広告費用に次いでIT費用がトップ3の一角を占めていたことから、「やはりITはまだまだ経営に貢献しているとは認知されていない。IT投資が企業の生産性を高めることを証明するのが急務だ」と、IT業界としての対応を訴えた。

 そして「経営に信頼されるIT」になることが肝要だとしたうえで、企業にとっては「厳しい経済環境の中にこそ、直近のコスト削減目標を達成しつつ、次の攻めのIT投資にシフトしていくチャンスがある」と力を込めた。

 さらに会見の最後に、橘本部長がこう語った。

 「世界同時不況の中にあって、おそらく多くの企業が一生懸命、この危機を乗り越えようと新たな開発投資に目を向けているはずだ。そうした前向きな企業を支援できるように、IT投資効果を一層高める提案を行っていきたい」

 今やサーバの主力製品となったx86サーバは、まさしくその一翼を担う。今回、日本HPが仕掛けた攻勢がx86サーバ市場を活気づかせ、そこで繰り広げられるバトルがIT需要喚起のバネになることを大いに期待したいところだ。

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プロフィール

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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