企業ITサービスを支えるブレードサーバ

米Verizon Business、クラウドデータセンターをアジアに開設セキュリティを組み込んだITサービスを

米Verizon Businessは、クラウドサービスに対応したデータセンターを2009年春までに米国と英国、アジア圏に開設。セキュリティを組み込んだ統合型サービスを提供するという。

» 2009年02月02日 06時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 企業向けネットワークサービスの米Verizon Businessは、今年春までにクラウドサービスに対応したデータセンターを米国ワシントンと英国、香港もしくは東京に開設する。このほど来日したグローバルサービス担当副社長のケリー・ベイリー氏が明らかにした。

グローバルサービス担当副社長ケリー・ベイリー氏

 同社は米通信大手Verizon Communicationsの中で、企業向けのネットワーク関連サービスを提供。拠点間の高速通信やネットワークの構築・運用支援、セキュリティ監視、アプリケーション運用支援などを主なサービスとしている。

 クラウドサービスの提供について同氏は、「われわれは自社運用型からアウトソーシング型まで、顧客企業が求めるいかなる形態のITインフラのニーズに対処する。クラウドは企業のグローバル化やコスト削減の中で注目されている手段であり、特にIPベースのITインフラ利用については十分なノウハウを持ち合わせている」と話した。

 従来はデータセンターネットワークを自社運用する企業を中心に支援を提供してきた。最終顧客や取引先企業、さらには従業員までもが国際化しつつある今では、クラウドベースのITリソースを志向する企業が多いという。「例えば小売業界では季節商戦の前後でITインフラの利用効率が激変し、必要な時に外部リソースを求める。技術系企業なら、一時的に必要な開発環境をクラウドで調達する意識が強いといった具合だ」(同氏)

 クラウド利用に求めるメリットに対して、同氏は自社のデータがどのように流通しているのかをユーザーが適切に把握する必要があると指摘する。一般的なクラウドサービスでは、サービスプロバイダが持つデータセンターリソースをユーザーがインターネットを介して共有する。その際にはデータがイントラネットの外部を流通することから、データの安全性について懸念を抱く声が根強くある。

 こうした懸念に対して、ベイリー氏はグローバル単位と地域単位の両面で法規制も考慮したネットワーク支援サービスを提供できると話す。同社は北米と欧州、アジア(日本、中国、インド)を主要な市場として、地域間および現地向けのサービスでは実績があるという。「グローバルで共通利用するサービスが8割、SOX対応など地域ごとに即したサービスが2割という構成。いずれにおいても企業にとって欠かせないセキュリティ課題をクリアしている」(同氏)

 具体的には、ネットワークレイヤからアプリケーションレイヤまでを常時監視することで、情報流出や不正アクセスへの対策、コンプライアンス対応までをカバーする。「基幹ネットワークからクライアントまでを包含し、そこに流れるすべてのユーザーの行動とトランザクションを常時監視している。これは通信事業者ならでは特徴だ」(同氏)

 まもなく展開するクラウドデータセンターサービスでも、セキュリティ対策におけるノウハウを特徴に打ち出してグローバル企業に利用を訴求していく考えだ。セキュリティサービスのメニューには、スパム対策や不正トラフィックの監視などがラインアップされる。

 データセンターリソースの利用形態でも、Salesforce.comのような一般的に普及しつつある共有型から、ファイアウォールで保護されたリソースを占有するいわゆる「プライベートクラウド」まで、顧客にニーズに合わせて柔軟に対応する。

 サービスの具体的な内容は、4〜6月期の早い段階に発表する予定。国内ではクラウドサービス含めたグローバルネットワークサービスの拡大を狙い、コンサルティング担当者を30人体制とするほか、有力なシステムサービス企業数社との提携を進めているところだという。

 ベイリー氏は、「今のクラウドはCRM利用が中心だが、近い将来にはERPも利用されるだろう。米国の一部中小企業は基幹業務全体をクラウドに展開する意向を持ち始めている」という。最後に通信事業者によるクラウドサービスを利用するメリットについて、同氏はベンダー中立な立場やセキュリティに対する責任感の強さ、統合化したサービス内容をグローバルで利用できるといった点を強調した。

過去のセキュリティニュース一覧はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ