HPの新製品「ProCurve」発表にみる本気度伴大作の木漏れ日(1/2 ページ)

日本HPはさる1月29日、次世代データセンター用ネットワークスイッチの新製品「ProCurve」を発表した。Cisco Systemsの製品を意識して発表したようだ。

» 2009年02月10日 16時36分 公開
[伴大作(ICTジャーナリスト),ITmedia]

 日本HPはさる1月29日、次世代データセンター用ネットワークスイッチの新製品「ProCurve」を発表した。5機種すべてが1Uタイプだ。この製品は競合機種と目されるCisco Systemsが発表したCisco Catalyst 4900Mシリーズを意識して発表したようだ。

最も注目すべきは価格

 19インチラックに収容するラックトップスイッチで、Ciscoの製品と今回発表されたProCurveで最も目を引くのはやはり価格の違いだ。

 Cisco 4900Mはシスコシステムズの発表では251万円からだったが、ProCurveは6600-24G-4XGが83万8000円だ。概算で価格は実に3分の1だ。このカテゴリーの製品はほかのベンダーの製品ラインアップがまだそろっていない。つまり、ProCurveはシスコシステムズを狙い撃ちした製品といえよう。

 HPのプロカーブ ネットワークビジネス本部マーケティングマネジャー伊佐治俊介氏は製品説明で、最初にデータセンターの定義から始め、一般に認識されている大規模なデータセンターだけを対象にしているのではなく、一般企業のサーバルームやコンピュータクローゼットなど小規模な設備も対象としていることを明らかにした。その上で、現在ネットワーク機器に「コスト削減」「リスク低減」「ビジネス変革への素早い対応」が求められているとした。ProCurveはそのニーズに最も適切なソリューションを提供する機器だと語っている。

 つまり、HPの対象は大企業ユーザーだと断言できる。製品がトップオブラックという性格上、恐らくブレードサーバを既に導入したか、あるいは今後導入する予定のユーザーと考えてもいい。販売が好調なブレードサーバと併せて売れる商品だと考えているのかもしれない。

注目すべき製品

 今回HPが発表したProCurve6600シリーズの中で、ちょっと毛色の変わった製品がある。それは10GSFP+を24ポート装備した6600-24Gだ。

 オプチカルファイバー10Gbpsを24ポート装備したということは、複数のブレードサーバ間で動くアプリケーションを高速でアグリゲーションすることが可能になるということだ。HPはこれを「バーチャルコネクト・モジュール」と説明した。分かりやすく言うなら、このスイッチ自体がさまざまなアプリケーションを組み合わせて動いている。Webの仕組みとしては非常に有効な製品だ。

 事実、日本以外の国ではこの製品の発表会に、MicrosoftやF5、McAfee、AvayaなどさまざまなベンダーがProCurve One に賛同し、発表会に出席したようだ。ただし、日本での発表会ではアプリケーションベンダーの出席も、エンドースメントの発表もなかった。これは何を意味するのか。

手探りの日本市場

 世界中を見回して、ブレードサーバ市場は事実上、IBMとHPの一騎打ちの状態だ。オープン市場では事実上、HPがイニシアティブを握っている。ところが、日本市場はちょっと様相が異なっている。もちろん、ライバルのIBMは日本市場では相変わらず手強いライバルだが、それ以外に富士通やNEC、日立など国産ベンダーも一定の勢力を築いている。Dellもそれなりにユーザーから支持を集めているようだ。つまり、日本は世界標準が通用しない市場なのだ。

 多くのアプリケーションベンダーも国産ベンダーとOEM契約を締結しており、独自のチャネルを持っているベンダーは少ないのが実情だ。競合するCiscoも実態は似たようなもので、自社独自のチャネルはあるものの、キャリアや大手企業ユーザーは大手国産ベンダーに多くを頼っている。

 そうなると、諸外国のような訳にいかないのは当然だ。発表会の席上、HP自身もネットワークビジネス本部長が出席する程度なら、パートナー企業を招くことなど考えられない。つまり、手探りなのだ。事実、HPの発表によるとHPのネットワーク・スイッチの世界におけるシェアは2位だというが、日本でのシェアは数%に止まっているという。

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