ネットワーク利用を最適化する新技術、アルカテル・ルーセントが開発リソースの正しい活用で

アルカテル・ルーセントは、ネットワーク帯域を占有するP2Pやコンテンツユーザーを制限して、ユーザー間に均質なサービスを提供するためのシステムを開発している。

» 2009年02月16日 06時15分 公開
[ITmedia]

 「ネットワークトラフィックを占有する僅かなヘビーユーザーを制限することで収益機会を高める」――ネットワーク機器大手のAlcatel-Lucentは、利用者ごとにネットワークリソースを調整して均質なサービスを提供するためのシステム「Application Assurance」を開発している。サービス品質の向上が、ネットワーク事業者などの収益機会を高めることにつながるという。

束氏

 従来、ネットワークトラフィックを占有する傾向が強いユーザーはファイル交換ソフトウェアなどに限られたが、近年は映像やゲームといった大容量データのコンテンツサービスの普及で、アプリケーションがネットワークリソースに与える影響が強まっている。日本アルカテル・ルーセントIP事業部のシステムエンジニア、束磊(しゅう・れい)氏は、「設備の古い事業者ではリソースを占有する一部ユーザーが原因となり、ほかのユーザーへ通信速度などの面で質の高いサービスを提供するのが難しくなった」と話す。

 こうした課題に対応するため、Application Assuranceではアプリケーションに注目して帯域管理を行えることを目標にしたという。同システムではアプリケーションごとにトラフィックを識別して、ユーザーの利用状況を分析。管理者にリポーティングし、管理者はヘビーユーザーのトラフィックを制御するなどしてほかのユーザーに帯域を割り当て、サービス品質の維持を図ることができる。

 この仕組みは、大規模ネットワークを運用するキャリア向けのルータ製品などが対応し、「Integrated Services Adaptor」(AA-ISA)と呼ばれるトラフィック識別のためのアダプターと分析ツール「5760 Reporting and Analysis Manager」(5670 RAM)を用いる。

5760 Reporting and Analysis Manager

 AA-ISAではレイヤ4〜7の個々のパケットをシグネチャによって識別し、アプリケーションの利用フローをユーザー単位で監視する。アダプター1枚当たり、最大10Gbps、6400人のユーザーの処理ができ、キャリアルータ製品へ容易に組み込めるという。AA-ISAからの情報はネットワーク監視ツールの「5620 SAM」に提供され、5620 SAMから5670 RAMを指定して分析する。その結果から、加入者管理システム「5750 SSC」で帯域制御などが行う。

 5670 RAMでは、数十種類以上のリポートのテンプレートが用意されているが、管理者がアプリケーション別やユーザー別、時間帯別などの条件でリポート画面をカスタマイズできる。束氏によれば、同システムは一般向けサービスを提供する通信事業者だけなく、グローバル展開などで大規模ネットワークを有する企業のネットワーク最適化に役立つという。

リポート画面の例。分析処理はCognosで行う

 「アプリケーションのトラフィックを監視する技術は多いが、加入者単位で監視する仕組みは少なく、きめ細やかな運用に対応できる」(同氏)

 AAシステムは既に発売済みだが、中国とオーストラリア、ニュージーランドの通信事業者での評価試験が始まっているという。

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