戦略モデルを導入するなら「毎年5度ずつ」舵を切れ闘うマネジャー(2/2 ページ)

» 2009年02月20日 14時32分 公開
[島村秀世,ITmedia]
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部門長の人事だけがブレーキなのか

 さて、ディフェンシブからオフェンシブ(攻撃的)に切り替えなくてはならないのだが、筆者としては「皆、急ぎすぎではないか。ゆっくりとやればいいではないか」と思う。

 組織が180度ひっくり返って、直ちにオフェンシブになるわけがない。毎年5度ずつ舵を切ればいいくらいで進めてはどうだろう。正しいからと急げばどこかに無理が発生し、システム障害などにつながる。組織は「それ見たことか」と、ますますディフェンシブになる。

 この話をすると、「わたしどもの自治体では3年で異動が行われるので、時間を掛けろと言われても無理です」と返ってくるが、本音がどこにあるか改めて自身に問い直して欲しい。本音は改革を担い責任を負うべき部門長が、2〜3年で必ず変わってしまうから「時間を掛けろと言われても無理」なのではないか。しかも、議会のことにかまけているばかりで、組織の課題に向き合おうとせず、無事に通過することばかり考えているから「無理」と言っているのではないか。

 筆者は「ながさきITモデル」を、たった1つの情報政策課に導入するのに3年を掛け、定着させるのにさらに2年を掛けた。ダウンサイジングには8年も掛けている。ゆっくりと進めているので、無理がない。失敗があってもリカバリーができる。だから、職員がいつの間にかオフェンシブになった。

 かつて、長崎県庁は、とある大手ベンダーの上得意といわれる自治体であった。ところが今、職員は、誠実な地場中小零細企業を使うのに何の抵抗も覚えない。むしろ積極的なくらいだ。

 ゆっくりとやればいいではないか。急ぐと「それ見たことか」と言われるだけだ。

プロフィール

しまむら・ひでよ 1963年3月生まれ。長崎県総務部理事(情報政策担当)。大手建設会社、民間シンクタンクSE職を経て2001年より現職。県CIOとして「県庁IT調達コストの低減」「地元SI企業の活性化」「県職員のITスキル向上」を知事から命じられ、日々奮闘中。オープンソースを活用した電子決裁システムなどを開発。これを無償公開し、他県からの引き合いも増えている。「やって見せて、納得させる」をマネジメントの基本と考える。


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