エンタープライズに浸透するSaaSユーザーの拡大が実証(1/2 ページ)

米OpSourceの「SaaS Summit」に参加した業界専門家やベンダー、ユーザーによると、今やエンタープライズ分野におけるSaaSは、ストレージやデータ保護とともに、今日のIT産業における最も活発な市場になった。現在の厳しい経済環境も追い風になっているようだ。

» 2009年03月14日 08時30分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 大企業によるSaaS(サービスとしてのソフトウェア)の利用は、いずれITの最もホットな分野になる。ここ数カ月、もしかするとここ数年、アナリストや研究者はそう主張し続けてきた。その考えは、いまようやく実際に利用している人々の声によって実証されようとしている。

 今年で4回目を迎えた米OpSourceの「SaaS Summit」。カンファレンスに参加した業界専門家やベンダー、ユーザーによると、今やエンタープライズSaaSは、ストレージ、データ保護とともに、今日のIT産業における最も活発な市場になったという。

 「現在の景気状況がわれわれの追い風になっている」。最高責任者レベルの役職に就いて30年のベテランで米LiveOpsの会長兼CEOのメイナード・ウェッブ氏は、基調講演で500人の聴衆を前にこう述べた。

 カリフォルニア州サンタクララに本拠を置くLiveOpsは、オンデマンドのコールセンターサービスを提供している。SaaSには、クラウドコンピューティングやオンデマンドアプリケーション、グリッドコンピューティング、リアルタイムコンピューティングサービスなど、さまざまな種類や呼び名がある。企業にソフトウェアをサービスとして提供するという考えは、1970年代のメインフレーム時代までさかのぼることができる。当時、米IBMや米Amdahlなどのメーカーがコンピュータを分割利用するサービスを確立した。

 1990年代に入ると、そうしたサービスをインターネット経由や専用ネットワーク経由で提供するベンダーを「アプリケーションサービスプロバイダー」と呼ぶようになる。それらはまさに今日のSaaSの先駆的なサービスと呼べるものだった。そしてブロードバンドのI/O帯域幅が劇的に拡大するとともに、SaaSは――特に現在のような景気後退期では――企業にとってますます重要なものとなった。

 「企業は以前、ソフトウェアの導入に2000〜3000万ドルも支出していた。今日、彼らには(SaaSという)まったく新しい方法が用意されている。それを利用すれば、初期投資をせずにいままで通り、あるいはいままでよりも優れたソフトウェアを簡単に手にすることができる。これ以上のものがほかにあるだろうか」とウェッブ氏は力説する。

 「SaaSは中堅・中小規模の企業(SMB:Small and Medium Business)だけのものではない。今やソフトウェア産業最大の成長株だ。現時点において最も有望なソフトウェア市場といえるだろう」と同氏。

 プロプライエタリ時代の「塀で囲まれた庭」やベンダーの「縛り」は、もはや遠い過去の遺物だ、とウェッブ氏は続ける。

 「Web2.0企業の多くは、SaaSがビジネスにもたらす価値を理解している。一方で、一般的に大規模で変化を好まない旧来の企業は、SaaSやクラウドコンピューティングが自分たちのビジネスモデルに有益かどうか、今も懐疑的だ」

 後者のような大企業の場合、SaaSの実装を阻む要因は主に3つある、と同氏は指摘する。

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