デルは、厳しい経済環境下で企業の効率化を推し進める、14種類の製品群とサービスを発表した。
今回発表されたのは、サーバ5製品、ストレージ5製品、ワークステーション3製品および管理ツール「Dell Management Console」で全14種類。
サーバの「Dell PowerEdge」シリーズは今回で第11世代のサーバとなる。ハーフハイトブレードサーバ、フルハイトブレードサーバ、タワー型、ラック型のスタイルをそろえ、インテル次世代Xeonプロセッサを搭載、仮想化のサポートと省電力化、運用管理のシンプル化を推し進め、仮想化に重要なメモリを前世代のサーバの1.5〜2.25倍となる大容量を搭載している。またオンボードでギガビットNICを4ポート搭載し、仮想化に適した構成を実現した。さらに内蔵USBポートとSDカードスロットを搭載、ハイパーバイザーの組み込みを容易にしている。
グリーン化の面では、冷却ファンを前世代より60%省電力化、電源モジュールもAC/DC変換効率90%を実現するなど、部品レベルから消費電力の効率化を追求している。運用管理面では、マザーボード上に、ファームウェアやデバイスドライバ、各種ユーティリティなどが保存された専用ライザーカード「ライフサイクル・コントローラ」を装備。基本セットアップもCDやDVDが不要なため、前世代製品より導入時間を約50%短縮した。
「Dell PowerEdge」シリーズにはサーバ管理ツールとして新たにDell Management Console(DMC)を無償で標準添付されており、あらゆる情報を1カ所で集中管理し、運用管理のシンプル化を提供している。DMCはシマンテックの管理プラットフォームAltirisをベースに構築されたもので、デル以外の製品の環境にも対応可能だ。
ストレージ製品の「EqualLogic PS6000シリーズ」は、既存のEqualLogicストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)へシームレスに統合することで、ストレージ・プールの仮想化を効率的に実現しているという。前世代との比較では、シーケンシャル書き込み性能が最大91%高速化した。またデルが9年連続トップシェアを続けている、ワークステーション分野でもインテル次世代Xeonプロセッサを搭載し、処理能力を大幅に向上させた。前世代の製品との比較では、マルチスレッド・アプリケーションの処理能力が最大90%向上している。
価格はフルハイトブレードサーバ「Dell PowerEdge M710」で27万480円から。タワー型ワークステーション「Dell Precision T3500」で16万1595円から。
発表会見でデル日本法人のジム・メリット代表取締役社長は、今回の新製品投入について次のように述べた。
「厳しい世界経済の現実の中で、エンタープライズITの役割はこれまで以上に効率化を進めなければならない。エネルギー効率が高く、シンプルでオープンな製品が必要とされている。当社はHPやIBMのように独自仕様の世界の中に顧客を引き込み、囲い込むようなことはしない。あくまでも効率性、シンプルさ、オープン性の高さを追求し顧客志向のイノベーションを進めていく。当社は顧客にブラインドテストをさせてもらい、自社製品の評価をチェックすることを続けている。幸いにして15項目の評価ポイントの中で13項目で高い評価を得ている。これに満足することなく、改善を重ねていくが、1ドルのコストをかけてITを導入したら、管理に8ドルを要するという状況を変えていかなくてはならない。今回発表した製品群は、そうした問題について正面から取り組んだ成果が表れている」
また、システムズ&ソリューション統括本部長の町田栄作執行役員は、「システムマネジメントツールを製品に標準で組み込むというのは、おそらく業界で初めてだろう。ライフサイクルをコントロールする際のIT担当者のストレスをできるかぎり軽減するよう、今回の製品には細部まで注意が払われている。当社ではカスタム設計のモジュラーサービスを行う『Dell ProSupport』、ライフサイクルマネジメントサービスを行う『Dell ProManaget』、ツールおよび技術ベースのコンサルティングを行う『Dell ProConsult』という、ユーザーの価値を最大化するサポートがある。今回の新製品はそうしたプロフェッショナルサービスの恩恵を最大限にする能力が増強された」として、フルモデルチェンジしたサーバ、ワークステーション製品群の将来性を強調した。
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