IPカメラのトレンドは高精細化と設置のしやすさAxisが動向を紹介

IPカメラベンダーのアクシスコミュニケーションズが、IPネットワークカメラの動向を紹介。高精細化やカメラの設置のしやすさが求められているという。

» 2009年07月09日 08時45分 公開
[國谷武史,ITmedia]
永久氏

 IPカメラベンダーのアクシスコミュニケーションズは7月8日、IPネットワークカメラの動向に関する記者説明会を開き、高精細化や設置のしやすさといったニーズに対する同社の取り組みを紹介した。

 IPネットワークカメラは、カメラシステムをIPネットワークに対応させることで、企業などの情報システムに監視などのセキュリティ用途のシステムを統合できるのが特徴。従来はCCTV(Closed Circuit Television)と呼ばれる独立したネットワークシステムで構築、運用されてきた。

 市場動向について、チャンネルセールス&マーケティングディレクターの永久茂氏は、「CCTV市場は今後縮小し、IPネットワークカメラは今後5年間に年率30%程度のペースで拡大する」と話した。英IMS Researchによれば、国内のCCTV市場規模は2007年が約717億円で、2012年には約688億円になると予想。IPネットワークカメラは2007年が同121億円だったが、2012年には同420億円になる見込みだとしている。

 技術動向では、映像の高精細化や圧縮効率の高い規格の採用、カメラシステムを容易に設置できるなどの点について、ユーザーから関心が高まっているという。

 技術コンサルティング部部長の落合大氏は、技術開発への取り組みについて「広く入手できる画像処理チップでは、映像監視用途に耐えるものが少なく、われわれは独自のASICチップを開発して対応している」と話した。

 映像の高精細化や符号化技術への対応では、水平解像度720画素以上(HD)での撮影やH.264を利用した高圧縮率での処理をチップで行えるようにしている。従来のCCTVは水平解像度480画素のVGA相当のアナログが主流だが、720画素以上にすることで映像を細部まで識別できるようになる。

 映像圧縮では、従来はアナログ映像をデジタルで記録する際にMotion JPEGを利用するケースが多かった。しかし、ワンセグ放送やブルーレイディスクなどで採用されているH.264を利用することで、撮影条件によって異なるがMotion JPEGに比べてデータサイズを5分の1〜20分の1程度に圧縮できるという。また落合氏によれば、HDの解像度までは求めないユーザーもおり、同社ではSVGA(水平解像度600画素)で撮影可能なカメラも展開している。

天井へ容易に取り付けられる構造にしたドーム型カメラシステム

 設置のしやすさでは、ハウジングというカメラシステムを覆う筺体を改良することで対処している。例えば天井などに埋め込んで設置する半球状のドーム型では、特殊な器具を使わなくても設置部にハウジングを置いて、支柱を伸ばすだけで固定できるようにした。カメラはPoE(Power over Ethernet)に対応するモデルもあり、カメラを設置してイーサネットケーブルを接続するだけで動作できるようになる。

 なお、設置する際にはカメラの向きやピント合わせなどの調整も必要。通常は設置担当者と監視センターで映像を確認する担当者が、電話などでやり取りをしながら調整している。同社の場合、一部製品では監視センターなどから遠隔操作でピント合わせなどをできるようにしたほか、今後発売する予定のモデルではLEDランプなどで調整状態を現場の担当者に知らせる機能を搭載する。これにより、映像を確認しなくても基本調整が行えるという。

IPネットワークカメラの利用はビル内などの屋内監視が主流だが、近年は屋外用ニーズも増え、温度や衝撃、防水性を高めたモデルが登場しつつある

 このほかにも「Pアイリス」というユーザーが任意にカメラの絞りを操作できる機能や、「ピクセルカウンター」という被写体の識別に必要な解像度が得られているかを自動的に分析する機能などを搭載する予定。また、1台のカメラからユーザーが任意に指定した複数カ所の映像を、あたかも個別のカメラで撮影しているように表示する「マルチビューストリーミング」機能も提供するという。

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