監視ビデオのニーズが急拡大、ソニーやパナソニックに対抗する欧州ベンダー進む標準化

ネットワークビデオ市場で、ソニーやパナソニックとともに最大手に位置するのがスウェーデンのAxis Communicationsだ。同社のモーリッソンCEOにネットワークビデオ市場の現状について話してもらった。

» 2009年06月03日 07時30分 公開
[ITmedia]

 ここ数年、繁華街やスーパーマーケットなどの店舗に設置されたネットワーク監視ビデオが目立って増加してきた。英国のIMS Researchによると、2007年のネットワークビデオ監視機器市場は12億4300万ドルだったが、2012年にこれが57億4600万ドルにまで跳ね上がる。

 ネットワークビデオの世界市場で、ソニーやパナソニックとともに最大手に位置するのがスウェーデンのAxis Communicationsだ。レイ・モーリッソンCEOは「欧米では特にカメラがアナログからデジタル型に本格的に移行している」と市場動向を話す。5月27日に固定ドームカメラの新製品などを発表した同社のモーリッソンCEOと日本法人の奥田智巳社長に、ネットワークビデオ市場について話してもらった。

来日したAxisのモーリッソンCEO

モーリッソン ビデオ監視のニーズは主に学校などで強い傾向があります。最近になり、小売業界などにおける導入が増えてきています。市場は拡大基調にあり、地下鉄などの交通機関を含めた公共における監視ニーズが高いです。

奥田 日本では少し異なる傾向があります。例えば、データセンター内の不正を防止するための監視ニーズが強くなってきました。データセンターは企業の重要なデータを扱う場所である一方で、密室になりやすい面があります。技術者による不正などを防ぐために、監視を強化する動きが強まっているのです。他には、パチンコ店の導入ニーズが強いのも日本市場の特徴といえます。

モーリッソン スウェーデンにパチンコ店はありませんが、カジノを考えれば同等のニーズは世界中にあるといえます。

 ネットワークビデオはアナログから、オープンスタンダードの時代になりつつあります。ユーザー企業にとって標準化は、1つのベンダーに縛られないで済むことや、ベンダー間競争の促進による市場拡大など、さまざまな利点があります。われわれの製品も、H.264やHDTV、ONVIFといった標準技術を採用しています。中でも注目できる技術がH.264です。帯域幅やストレージ消費容量をMotion JPEGの半分、MPEG4 Part2の半分に減らせます。

 さらに、グローバルなインタフェースの標準化を目指しているのがONVIFです。これが普及すると、エンドユーザーは機器選択の幅が広がり、システムインテグレーターはカメラ導入の作業を簡素化できます。ONVIFは現在、50社の登録企業からなるグローバルインダストリーフォーラムになっています。

 運営委員会のメンバーには、Cisco SystemsやBoschのほか、パナソニックやソニーも名を連ねています。特に日本市場ではパナソニックやソニーがわれわれの強力なライバルです。標準化により、ネットワークビデオ市場はさらに拡大期を迎えると考えています。日本ではパートナーを通じて拡販を図ります。(談)

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