記者との雑談で「何か大きなニュースがないですかね」という話になった。アドバイスした途端、自分も何もしていないことに気づいた。
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記者との雑談で「何か大きなニュースがないですかね」という話になった。僕が「あるじゃないか、例えば続々と投入される各社のXeon5500に関してちゃんと整理をした記事がない。それを提供するのがジャーナリストの使命だ」と言った途端、自分も何もしていないことに気付いた。
2009年に入り、ベンダー各社は次々とXeon5500番台(Neharem)を搭載したブレードサーバを発表した。まさに百花繚乱だ。今回は各社から投入されたXeon5500番台のサーバの話から始めよう。
各社が発表したXeon5500番台のサーバに関する共通した特徴がある。どの企業もブレードを主役に据えているという点だ。
日本のベンダー3社はもちろん、海外ベンダーの御三家、IBM、HP、Dellもブレードに力を入れている。それにしても、改めてXeon5500のスペックシートを見て思うのだが、こんな強力なCPUが、それも複数必要なのだろうか。
実際、幾つかのベンダーに「これらの製品をどのような用途でどのような企業向けに売り込むのか」と質問したが、あまり明確な回答は得られていない。それではということで、ユーザーやシステム構築を手掛けるシステムインテグレーターに聞いてみたが、「仮想化でしょうか」というくらいで、あまり明確な回答がなかった。
「2005年以前に導入した高性能UNIXサーバがリプレースの時期を迎えているので、それの候補として考えています」という回答が目立った程度だ。これらの回答から、ベンダーが戦略的に意欲を持って開発した製品とはいえないという事情が透けてくる。
ベンダー側は「ライバル企業が新製品を投入するから、うちの会社も負けずにやらなければならない」という極めて追い詰められて開発を行っている事情が裏にあるように思える。
これでは「隣の田圃」の稲の成長をいつも気にしているお百姓さんと何ら変わらない。大事なことは、稲を育てることではなくて、それを誰に買ってもらうのかということだ。
しかも、今回のXeon登場で、多くの企業がライバル企業に「右へ倣え」の姿勢を貫いているようで、発売されたサーバのほとんどはブレードタイプだ。ラックマウントタイプはHPやDell、タワー型に至ってはHPくらいしかないという寂しさだ。
全く同一のCPU、同じようなバス構成、似通った搭載メモリ、ディスク容量、ちょっと違うのはエンクロージャーのサイズと外観、消費電力程度というのでは、ユーザーが選択基準にするのはベンダーとの付き合いの深さとか、インストールベース数や事例、価格ぐらいしかなくなってくる。
中でも、価格は最も重要なファクターとなる。その点で、先行したHPの優位は揺るがない。製品の信頼性という面でも出荷数の多いベンダーはやはり有利だ。
Xeon5500搭載サーバのシェア争いは、結局、世界でも特異だと評される日本のコンピュータ市場の競争を根底から覆すのかもしれない。
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