医療情報の電子化が進んでも適切なプライバシーの保護が実施されていないと、米調査会社Ponemonが指摘している。
2008年に患者の電子データを1件以上紛失した米医療機関が80%に上ることが分かった。米調査会社Ponemon Instituteが10月20日に公開した調査報告書で、医療情報の電子化におけるプライバシー保護の実態について指摘した。
調査はLogLogicがスポンサーとなり、Ponemonが平均1000人の従業員を抱える医療機関のIT管理者542人を対象に電話でアンケートを実施した。
2008年に患者の医療データが紛失したり、盗難に遭ったりした医療機関は全体の80%を占め、うち4%は5回以上経験していた。データ侵害に伴う患者1人当たりのコストは平均210ドル以上だった。
約3分の2の医療機関では25%の患者の情報を電子化しており、75%は半分以上を電子化しているという。プライバシー保護への取り組みでは、約70%の回答者が「経営管理者はデータとプライバシーのセキュリティに優先順位を持たせていない」と答えた。53%は既存のセキュリティ対策が効果的であると考えながらも、プライバシー保護のプロセスが適切に行われていないと述べた。
Ponemonは、医療情報の有効利用などを目的に電子化が推奨されているが、医療機関の多くはプライバシー保護に必要なリソースを確保できず、また、経営幹部によるサポートが欠けていると報告書で指摘。患者の医療情報がコンピュータ犯罪などの危険に晒されていると警鐘を鳴らしている。
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