クラウド時代のデータベース新潮流

DBアップグレードは難しくない――Oracleの達人に聞くクラウド時代のデータベース新潮流(2/3 ページ)

» 2009年10月22日 08時00分 公開
[岡田靖,ITmedia]

1TBのDBアップグレードも1時間5分

 このような、移行に伴う数々の課題に対し、富士通北陸システムズでは日本オラクルと共同で「DBマイグレーション for Oracle」というサービス立ち上げ、2008年12月より提供している。まずは事前のアセスメントで移行期間やリスクを洗い出し、最適なDB移行方式を立案。移行作業には事前検証済みの方式や手順、ツールを活用し、さまざまなケースに対応していく。計画からテストまで一貫した移行コンサルティングが、全体を通じて顧客を支援するという内容だ。

 日本オラクルと富士通北陸システムズが共同で、GRID Centerにおいて行った検証結果の一例を挙げよう。Oracle 9iからOracle 11gへ約1TBのデータを移行する際、単純なエクスポート/インポートでは33時間12分、DB Linkとダイレクトロードを用いて全体をコピーした場合には22時間13分だったという。

 それに対し、同じDB Linkとダイレクトロードの組み合わせでも直近データ(全体の約1割と仮定)のみを差分転送したケースでは2時間5分、フィジカルスタンバイ構成のDataGuardとトランスポータブル表領域を活用すれば1時間5分にまで短縮できたとのこと。

 このような結果は、単に検証施設の中だけのことではない。池田氏の手掛けた案件の中にも少なからずあるとのことで、代表的な例として2年ほど前の事例を紹介してくれた。顧客は金融機関で、データ量は約1TB。Oracle 8iから、当時最新のOracle 10gにアップグレードし、同時に新サービス提供も行おうとしていた。

 「見積もった結果、FTP転送で単純にコピーしてアップグレード処理を行ったとすれば32時間かかると判明した。しかし、データを精査したところ、データ全体の8〜9割はログ、すなわち過去の履歴のデータだった。そこで、ログの部分は事前に転送しておき、最新データのみを移行直前に転送することで、作業時間の短縮を図った。また、最新データの転送には並列リンクを用いるなどして、さらに時間を短縮している」(池田氏)

 その結果、データ移行と移行後の検証も含め、2時間の停止で移行を完了できたとのこと。業務停止時間を16分の1に短縮できたのだ。さまざまなノウハウによって、移行の障壁を下げられることが分かる。

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