プライマリストレージでの重複排除と圧縮に自信――米Ocarina Networks

米Ocarina Networksは、独自のデータ圧縮・重複排除技術を持つベンチャー企業の1つ。このほど来日したエリック・スコーラード副社長が、ストレージコスト削減を支援する同社の技術を訴求した。

» 2009年12月10日 13時45分 公開
[ITmedia]

 企業が保有する情報が日々増える中、データを保管するストレージ容量も増加の一途をたどっている。この課題へ容易に対処する方法に大容量ストレージの追加があるが、コスト負担は大きい。情報そのものの量を抑制する圧縮・重複排除技術も注目されているが、パフォーマンスなどに与える影響が大きいことから、バックアップやアーカイブ向けのセカンダリストレージに用いられることが多い。

スコーラード氏

 このほど来日した米Ocarina Networksのエリック・スコーラード副社長は、「企業が抱える情報量はペタバイト規模になりつつある。ストレージの追加やセカンダリストレージの対策では限界があり、プライマリストレージでデータをいかに縮小させるかに注目すべきだ」と話す。

 2007年に創業した同社は、「content-aware」という独自のデータ圧縮・重複技術を持つベンチャー企業で、近年は米国で注目を集めるようになった。現在はEMCやHP、Isilon Systems、Hitachi Data Systems、BlueArc、DataDirect Networksと提携し、content-aware技術の提供や、同技術を搭載したアプライアンスおよびソフト製品を展開している。

 content-aware技術は、ファイル内に格納されている個々のオブジェクトを検出し、複数のファイルに共通するオブジェクトを単一のオブジェクトとして重複排除することで、元データに比べて約20〜80%もの圧縮を可能にするという。例えば、営業提案書の作成に使用したWordファイルと提出用のPDFファイルにある画像データを共通する1つのオブジェクトとして捉えることで、全体のデータ量を削減するイメージだ。

 データの完全性を確保するために、重複排除・圧縮したデータはビット単位でチェックし、破損や損失を防ぐようにしている。これら一連の処理を高速に行えるため、プライマリストレージでの重複排除・圧縮を実用レベルにした。

 スコーラード氏によれば、特に画像を多用するような業種の企業ではプライマリストレージでの重複排除・圧縮によるコスト削減効果が高まるという。80%ものデータ圧縮を可能にするケースには、例えば石油や天然ガス、鉱物といった天然資源の採掘に伴う地質調査のデータなどが挙げられる。

 「米国のあるユーザー企業ではストレージの追加に75万ドルの予算を計上していたが、プライマリストレージでの重複排除・圧縮を活用したところ、実際には15万ドルで達成できたケースもある」(同氏)

 同社の技術はNASに対応しているが、スコーラード氏は今後2年のうちにあらゆるストレージシステムに対応させていく計画だという。「こうした技術は以前からオンラインサービス企業での需要が強かったが、製造や科学技術の分野からも注目をいただいた。こうした企業や組織の多い日本市場にも積極展開したいと考えている」(同氏)

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