偽プロフでいじめを受けたサトルくんが取った対抗策は、“本物”のプロフを作ることだった。本物が本物であることを分かってもらうために、彼がとった行動とは……。
前回までのあらすじ
中学2年生のサトルくん(仮名)の成りすましプロフ(偽プロフ)が作られ、実態の見えないいじめが繰り広げられた。サトルくんとお父さんは、偽プロフの削除を依頼するか徹底的に無視するか悩んだ末、削除を依頼したが受け入れられず「本物のプロフを作る」ことを選択した。
この記事で紹介する出来事は、本人が特定されないように性別、学年、時期などを一部変更しています。筆者が実際に行ったアドバイスは、出版社の許可を得て『子どもをネットから守り、ネットで育てる〜頼れるお父さんになるための実践アドバイス』(翔泳社、吉田賢治郎著)から引用しています。
偽プロフ(自分のプロフィールページを作成できるサービス)の相談を受けたわたしは、サトルくん(仮名)とお父さんに“本物”のプロフを作ることを提案した。目的は、
である。本物のプロフに書く内容は、偽プロフを作った人への非難や攻撃、何らかの行動を起こしてもらうための提案や指示であってはならない。適切なのは「サトルくんの置かれている状況と素直な気持ち、苦しみ」「お父さんのサトルくんへの愛情と子どもを守るという強い意思」を書くことである。
ネットいじめを解決するには(書籍より抜粋)
いじめは「コミュニケーション」の問題であり、それを根本的に解決する方法は、相手を理解し、自分の気持ちを理解してもらおうとする積極的なコミュニケーション以外にはない。
いじめている子どもの言葉にも耳を傾け、さまざまな出来事の原因を、国や社会、学校、子どもたちに押し付けず、何事にも冷静に対応する。そんな本物の大人に出会ったときに子どもは必ず変わる。わたしたちが、本物の大人に接することで成長してきたように。
『子どもをネットから守り、ネットで育てる』より抜粋
最初はサトルくんとお父さんの2人にプロフを作ってもらう予定だった。しかし、サトルくんが「この程度のことで、大げさにしてほしくない」と希望し、サトルくんだけがプロフを作ることになった。お父さんもサトルくんの意思を尊重して任せることにした。
そこでわたしは、サトルくんと2人だけで話し合うことにした。
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