日立、メインフレーム「AP8800」を機能強化――仮想環境のスケーラビリティを向上

日立はメインフレーム「AP8800」を機能強化し、1月14日から販売開始する。強化の主眼は、大規模システム構築時のスケーラビリティ向上と、リレーショナルデータベースの開発/運用性改善に据えられる。

» 2010年01月13日 20時36分 公開
[ITmedia]

 日立製作所(以下、日立)は1月13日、メインフレーム製品「AP8800」を機能強化し、翌14日から販売開始すると発表した。強化点は大きく、大規模システムを構築する際の機能強化と、リレーショナルデータベース「XDM/RD E2」の開発効率と(セキュリティ強化時の)運用性向上に分けられる。

 大規模システム構築向けの強化点として具体的には、データ入出力装置との接続数を拡大できる「FIBARC拡張機構3」の提供および、プロセッサ資源分割管理機構支援「PRMA E3(1台の物理計算機を、複数の論理的な計算機“LPAR”に分割し、複数のOSを稼働させる支援プログラム。要は仮想化ソフトウェア)」の拡張が挙げられる。

 これによりAP8800の1台当たりのFIBARCチャネル数は256台(従来は最大144台)まで拡張され、またストレージの論理ボリュームなど仮想的なデータ入出力装置との最大接続台数は1台当たり6万5536台(従来比2倍)にまで拡張された。これに合わせAP8800と周辺装置を接続する装置「FIBARCディレクタ(従来モデルと比較し通信速度が2倍となる4Gbpsを新たにサポートし、また筐体容積を約25%削減)」の新モデルを提供する。

 また大容量メモリを有効に活用できる64ビットアドレッシング機能の適用範囲を拡大し、XDM/RD E2のSQL解析結果を、通常管理している実メモリ領域よりも、広い実メモリ領域に格納できるようにした。これにより空きが生じた実メモリ領域は、業務用アプリケーションなどに多く割り当てられるため、処理性能や多重度(同時実行可能なスレッド数)を向上できるという。

 XDM/RD E2関連の強化点についてはまず、データベース内のデータを格納する表において、ある列の値を、同一表にあるほかの列の値から、自動的に生成する機能(生成列機能)の実装が挙げられる。従来は必要だった“生成処理の作り込み”を省略でき、業務プログラムの開発効率が改善される。また業務ごとにアクセス権限の設定などを行う機密保護機能を、通常業務を継続しながら(オンラインで)既存システム環境へ適用するための支援機能が提供される。

 価格および出荷時期は次のとおり。なお今回から、オープン系テープ装置へのアクセス制御を行う「DMFOPDS」が、LTO媒体によるデータ交換に対応する(バックアップ用途では既にLTOに対応している)。

製品・機能 税込価格 出荷時期
FIBARC拡張機構3 月額5万2500円 2010年4月1日
IBARCディレクタ 月額262万5000円〜
プロセッサ資源分割管理機構支援 PRMA E3 月額50万4000円〜
リレーショナルデータベース XDM/RD E2 月額37万8000円〜 2010年2月5日
データ管理機能/オープンデバイスサポート DMFOPDS 月額15万7500円〜 2010年4月1日

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