続・クラウド時代のシステムインテグレーターの役割Weekly Memo(1/2 ページ)

富士ソフトとマイクロソフトが先週発表したクラウド事業における協業強化は、クラウド時代のシステムインテグレーターの役割を探る上で興味深い動きといえそうだ。

» 2010年03月23日 08時05分 公開
[松岡功ITmedia]

富士ソフトとマイクロソフトが協業強化

 「クラウド時代のシステムインテグレーターの役割」と題した本連載のコラムを2010年2月22日に掲載したが、今回はその続編のつもりで書く。

 同コラムでは、「プラットフォームの選択肢も保持した上でクラウドの利用の仕方を検討したいというユーザーニーズに応えるのが、システムインテグレーターの役割」と記した。

 その役割を果たすために、「これまでオンプレミス(自社運用)のシステム構築をなりわいにしてきたシステムインテグレーターは、SIのSをシステムからサービスに変えたサービスインテグレーションへの業態転換が必要」と訴えた。サービスインテグレーション力を持つシステムインテグレーターがどんどん出てくることが、IT業界の健全な発展のためにも不可欠と考えるからだ。

 そうした中、有力な独立系システムインテグレーターとしてクラウド事業にも積極的に取り組んでいる富士ソフトが3月18日、マイクロソフトと従来のオンプレミス分野に加えてクラウド分野でも協業を強化していくと発表した。

 協業強化の内容としては、マイクロソフトソリューションの専門部署を、個別のソフトベンダーに特化した組織としては富士ソフト社内で最大となる100人規模で新設したほか、マイクロソフトの最新技術を実際に体験できる「マイクロソフトソリューション&クラウドセンター」の開設、マイクロソフトソリューションのサービスパックメニューの大幅拡充、マイクロソフトのクラウドサービスである「BPOS(Business Productivity Online Suite)」の販売体制を全国規模で構築するといったことが挙げられている。

 さらに人員面でも、マイクロソフト認定資格保有者を現在の1000人規模から、2012年度には2000人規模に倍増させるとともに、マイクロソフト認定コンサルタントを2010年度に20人、2012年度までに40人育成する計画だ。

 発表会見に臨んだ富士ソフトの白石晴久社長はマイクロソフトとの協業強化について、「マイクロソフトはオンプレミス分野で圧倒的な存在感を持っているが、クラウド分野においても昨年来、BPOSおよびWindows Azureによって存在感を増しつつある。マイクロソフトが提唱するオンプレミスとクラウドの組み合わせによるハイブリッド型サービスは、個々のユーザーニーズに合わせて最適な提案を図る当社の事業方針に合致し、ビジネス拡大のために必要不可欠だと判断した」と語った。

協業強化の発表会見に臨む富士ソフトの白石晴久社長(右)とマイクロソフトの樋口泰行社長 協業強化の発表会見に臨む富士ソフトの白石晴久社長(右)とマイクロソフトの樋口泰行社長
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