例えば、このOSSベンダーではオープンソースのCRM(顧客関係管理)ソフトウェアである「SugarCRM」を主力製品としてビジネスをしているとします。一見、SugarCRMの製品イメージから、顧客管理のソフトウェアだと固定的に考えがちです。ある意味では正しいのですが、オープンソースで提供されたSugarCRMをソースコードのレベルから熟知したエンジニアから見ると、さまざまな機能モジュールの塊に見えます。極端な話、さまざまなニーズのソフトウェア開発に対し共通モジュールを活用すれば、SugarCRMを開発フレームワークとして活用し、ERPもBI(ビジネスインテリジェンス)ソフトウェアも構築可能というわけです。縦割りの開発で同じような機能を幾つも開発する必要はないのです。
コストも最適化されています。共通機能であっても、新たな開発にはリスクがありますし、開発する人間も限られているので無駄は避けたいのです。開発者は自分自身がソースコードを理解しているので、営業をする際にも顧客ニーズに応えられる範囲の限界も理解できます。開発工数のイメージ、納期も正確です。OSS流では「過去の構築経験」イコール「営業担当者の経験」ですので、(同一人物だから)絵に描いたユーザー事例ではなく、失敗を含め生きた事例として顧客に役立つ提案も可能になります。
OSS流では、ソフトウェアのライセンス料が無料という点ではなく、生きたシステムを提案できることが一番の強みであることがお分かりいただけたでしょうか。OSS流のポイントは、顧客接点となる営業担当者がエンジニアとしての視点できめ細かく、より顧客の求めるものを安く早く提供できる点にあるのです。
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