GoogleからMicrosoftに戻ったSerena――「未熟な品質とサービス」が理由(1/2 ページ)

Microsoftは、かつてExchangeからGmailに乗り換えた企業SerenaをBPOSによって取り戻した。Serenaは再移行の理由を「Googleは現時点で期待されるレベルまで成熟していない」と説明している。

» 2010年06月14日 18時17分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 米Serena Softwareは2008年、Microsoft Exchangeを米GoogleのGmailアプリケーションに移行することにより、75万ドル以上の経費を節減すると発表し、業界の注目を集めた。

 この移行は2009年3月に完了し、Serenaはしばらくの間、その成果に満足していた。だが状況は1年で大きく変化した。

 米Microsoftが今年、「Business Productivity Online Standard Suite(BPOS)」によってSerenaを顧客として取り戻すことに成功したのだ。

 BPOSはWebベースのメッセージングとコラボレーション用のソフトウェアを提供するサービスで、Microsoftがホスティングする。価格は1ユーザー当たり月額10ドルから。同製品は、Exchange Online、SharePoint Online、Office Live Meeting、Office Communications Onlineで構成される。Serenaではそれまで、Google Appsに含まれるGmailをはじめとするGoogleのコラボレーションアプリケーションを利用しており、価格は1ユーザー当たり年額50ドルだった。

 IT業界では、MicrosoftがSerenaにBPOSを3年間無償提供するという特典を与え、Serenaが無料で移行できるようにするとともに、包括的なエンタープライズ契約でも大幅な割引価格を用意したといううわさが流れている。

 だが、Microsoftがソフトウェアを無料で提供するといったことがあり得るのだろうか。もちろん、そんなことは考えられない。業界のうわさがやや疑わしく思えるのもそのためだ。

 クラウドコラボレーション市場に進出して3年になるGoogleは、200万社を超える企業ユーザーを抱え、同社のサービスに対する顧客満足度も高い。この市場におけるMicrosoftの戦略は、新規の顧客を獲得できなくとも、顧客の要求に譲歩することによって長期的に自社の評価を高めるというものであるようだ。

 MicrosoftはSerenaとの契約条件を明らかにしておらず、同社幹部もこの件に関してコメントを避けているが、Microsoft Online Services担当シニアディレクター、ティム・リゾー氏は発表文で次のように語っている――。「Microsoftは企業から信頼される技術力を持っており、実証済みの成果を実現するソリューションを魅力的な価格で提供している。Serena Softwareがエンタープライズレベルのサポート、セキュリティ、信頼性を提供するコラボレーションプラットフォームを要求し、Microsoftはそれに応えたのだ。Serena Software、そして全世界の大多数の企業がMicrosoftを選んでいる理由もそこにある」

 Serena SoftwareのITディレクター、ロン・ブリスター氏は、同社がBPOSを無償で使っているといううわさを否定している。同氏は、SerenaがGoogle AppsからBPOSに移行するのをMicrosoftが支援したこと、そしてSerenaのエンタープライズ契約でMicrosoftが値引きを提供したことを認めているが、どの程度の値引きが行われたのかは明らかにせず、最終的な契約内容についても口を閉ざしている。

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