ドコモのLTE vs UQ WiMAX――勝ち残るのは?伴大作の木漏れ日(2/2 ページ)

» 2010年11月25日 08時00分 公開
[伴大作,ITmedia]
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端末を見てみる

 当面、ドコモのLTE端末として提供されるのは、LG電子製のUSB接続タイプ「L-02C」に限られる。富士通製のExpressCard型「F-06C」は、2011年春の発売予定だ。また、ドコモはモバイルルータ型の端末も、2011年早々に投入する意向も表明した(おそらくバッファロー製、あるいはNEC製ではないか)。

 これに対しUQは、上述したようにPC内蔵のモデルまで出ていて、一歩リードしている。さらにUQは、CEATECでWiMAX2の展示を行ったが、おそらく2011年から2012年にはサービス開始に踏み切るだろう。世界では出遅れ感のあるWiMAXだが、インテルが主導しているだけに、端末は豊富だ。問題は世界で使用する周波数が統一されていない点で、この課題が解決し、そして技術的に電波干渉も解決すると、普及が加速されるに違いない。

 帯域が大きくなると、1台のPCで独占するのはもったいないという意識が生まれる。つまりモバイルルータが、今後のデータ通信端末としては主流になるとみられる。さらに、電話機能にデータ通信機能を付加したモデルも出現するに違いない。WiMAX-WiFi接続ルータは既に「WiMAX Speed Wi-Fi」が投入されている。NECアクセステクニカ製で、モデル名称は「AtermWM3300R」だ(NECアクセステクニカでは、今年のiExpoで早くも新型のWM3500を発表した)。

 対してLTE-WiFiは、まだ具体的な動きが見えない。おそらくWCDMA-WiFiルータを発表したバッファローあたりが新製品を投入するのだろうが、明確ではない。結果、今時点ではWiMAXの方が、端末の選択肢という意味では優れていると言わざるを得ない。

光ファイバーvsモバイルブロードバンド

 これだけ帯域が広がると、ADSLはもちろん、光ファイバーにも見劣りしないところまで来たように、誰もが考えてしまう。自宅で使っているルータを、そのまま持ち出せるととしたら、確かにワクワクする。今回の発表で、少なくともADSLを使っているユーザーは、モバイルブロードバンドへの切り替えを検討してもいいかもしれない。しかし、光ファイバーからの移行ということになるとちょっと考えものだ。

 フレッツ光のマンションタイプなら、実効速度はおよそ30〜10Mbps程度だろう。おそらく、アクセスの少ない基地局に接続できれば、代替可能というレベルかもしれない。しかし、フレッツテレビなど「トリプルプレイ」サービスを利用している家庭では、移行などは不可能だ。またフレッツにも増速計画があり、遠くない時期に200Mbpsへ移行するようである。光ファイバーの場合、両端の機材を取り替えるだけで、現状でも40Gbpsまで帯域を上げることが可能だ。そのような芸当は、無線にはできない。

 また、盛り場やイベントの開催などで、多数の端末からのアクセスが、同じ基地局に殺到した場合、無線の本質的な課題から、基地局自体が端末との帯域を絞る。LTEを契機に、光ファイバーをやめてモバイルブロードバンドに切り替えようしている人は、もう少し様子を見てからの方がよさそうだ。

ウィルコムと同じ運命をたどるのか?

 ソフトバンクが携帯電話ビジネスに乗り出して、最も大きな影響を受けたのがウィルコムだった。“家族割り”といった、特定の宛先への通話が「タダ」になるというソフトバンクモバイルのビジネスモデルが、音声フラットレートを採用してきたウィルコムのビジネスを直撃したからだ。その結果、純国産技術であるPHSサービスの“最後の砦”だったウィルコムは、経営破綻に追い込まれた。そして今後、ドコモとUQがモバイルブロードバンド分野で激しく競争した場合、大きな影響を受ける可能性があるのはイーモバイルとソフトバンクモバイルであろう。

 ソフトバンクモバイルはiPhone、イーモバイルはソフトバンクモバイルと同様、iPod touchとモバイルルータの“抱き合せ販売”が奏功している。つまり、両社ともモバイルデータ通信で業績を伸ばしてきたが、今後は“高速化”という荒波が、ドコモとUQによりもたらされるだろう。果たしてこれに耐えられるのだろうか。両社の動向が注目される。

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