業務プロセス改善は関係部門を巻き込めBPM FORUM 2010 Report

海外のある玩具メーカーでは、CFOやCIOなどの経営陣を加えたプロジェクトチームを結成し、業務のプロセス改善を推し進めた。

» 2010年11月25日 13時56分 公開
[伏見学,ITmedia]

 日本IBMは11月24日、企業のIT部門および業務部門の担当者に向けた自社セミナー「BPM FORUM 2010」を開催した。同セミナーでは、BPM(ビジネスプロセス管理)そのものの解説から、BPMを巡る市場動向やユーザー企業の意識、IBMが提供する関連製品の紹介など、さまざまなセッションが用意された。

日本IBM ソフトウェア事業 ICP BPMセールススペシャリストの嶺千登世氏 日本IBM ソフトウェア事業 ICP BPMセールススペシャリストの嶺千登世氏

 「世界の業務改革・改善で実際に行われている“人、中心”業務プロセスの最適化手法」と題したセッションでは、同社 ソフトウェア事業でICP BPMセールススペシャリストを務める嶺千登世氏が、BPMの取り組みによって業務改善を成し遂げた企業の事例を紹介した。

 嶺氏が取り上げた海外のある玩具メーカーは、BPMの導入によって顧客からの見積もりに対する回答プロセスを自動化した。その結果、見積もり依頼から回答までの時間を従来の12日間から1、2日間にと、約90%短縮した。加えて、これまで人力で行っていたサプライヤーの選別業務をシステムに組み込んだことで、部品メーカーなどを増加する際にサポート社員を増員する必要がなくなり、生産性が250%向上した。

 BPMを導入するに至った背景として、この玩具メーカーは、自社製品の約75%を中国をはじめとするアジアの製造メーカー100社に委託していたが、委託先の企業とのコミュニケーションをFAXや電話、Eメールで個別に行っていたほか、発注などのデータ入力も手作業だったため、業務プロセスがシステム化されておらず、漏れや遅延、調整ミスのトラブルが頻発していた。

 そこで、まずはサプライチェーンプロセスに焦点を合わせ、SCM(サプライチェーンマネジメント)部門長をリーダーに、CFO(最高財務責任者)やCIO(最高情報責任者)などが参加するプロセス改善チームを結成した。

 BPMツールは「IBM WebSphere Lombardi Edition」を採用した。同製品は、プロセスのモデリングと分析・シミュレーション、プロセスの自動化や迅速な変更、測定や予測などのプロセス監視といったBPMに必要な機能をすべてパッケージしたソフトウェア。これを活用して同玩具メーカーは、顧客、自社、パートナーが参加するビジネス協業の場をWeb上に設けるとともに、RFQ(見積もり依頼書)を単一のシステムで作成、発行できるようにした。さらに、Webフロントエンド画面のガイドによって、従業員およびサプライヤーの仕事を標準化した結果、業務プロセス全体の80%が自動化された。

 BPM成功のポイントについて、嶺氏は「業務部門が中心となり、ITや財務など関係部署のトップを巻き込んで業務プロセス改善に取り組んだこと、スモールスタートで段階的に適用範囲の幅を広げていったことが重要だ」と力を込めた。

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