インターネット編 ソーシャルサービスの安全な使い方、ルールの作り方今すぐ始めたい中小企業のセキュリティ対策チェック(1/2 ページ)

SNSをプライベートや仕事で使うシーンが広がっていますが、そこにはセキュリティの危険性も潜んでいます。SNSの安全な使い方や利用者に受け入れてもらえるインターネットのルールを考えてみましょう。

» 2010年12月03日 15時00分 公開
[新倉茂彦,ITmedia]

Twitterやmixiの私的利用、情報漏えいの危険性

 ニールセンの調査によると、国内のTwitter利用者が1100万人を超えて、mixiの利用者数を抜きました。企業活動でも積極的に利用されるようになってきました。

 インターネットには、従来では考えられなかったような新しいサービスが続々と出てきます。長く利用されるものもあれば、廃れてしまうものもあります。しかしいずれの場合でも、そこでやりとりされた情報は民間会社や世界各国の国立図書館などが「保存」を目的として、「デジタルアーカイブ」にしています。身近なところでは検索サイトのキャッシュが良い例でしょう。

 SNSとも言われるソーシャルネットワークサービスでも多数の情報が保存されていきます。SNSは、従来の匿名掲示板と似ているように思われがちですが、まったく違います。掲示板はその情報が掲示された場所(サイト)へ見に行くことになりますが、SNSは世界の航空路線図やインターネットの“クモの巣ネットワーク”に似ています。これは利用者が個々につながっている形です。情報の波及度合いは、掲示板よりも飛躍的に大きくなります。同時にインターネットを介して、個別にはつながっていない人たちの情報までも見ることができます。もちろん情報も残っていきます。

 SNSを匿名で利用することもできますが、匿名では利用の面白さが半減してしまうために、実名で行っている人が多くいます。SNSは、新しい人たちとのつながりや情報収集の手段としても便利なものです。

身元を隠しているつもりでも……

 それではセキュリティの観点から、SNSの私的な利用に潜む情報漏えいの危険性を見てみましょう。

 Twitterを例に考えてみます。Twitterでは「つぶやき」の時系列を誰でも簡単に見ることができます。一般に公開していない場合もありますが、公開しているケースの方が多いでしょう。Twitterは、思いついたことを簡単に「つぶやける」ツールであり、スマートフォンや携帯電話、PCといった端末の種類を選ばずに利用できます。ここに情報漏えいにつながるさまざまな危険性が潜んでいるのです。

 人間はうそをついても――プロの詐欺師であっても――必ずボロが出てしまうものです。その人の行動や話す内容に普段とは違うものが出てくるでしょう。うそをついていなければ、普段と違うものが出てくることはありません。

 匿名による「つぶやき」であっても、その内容を時系列で客観的に見ていくと、「この人は誰か」と推測できてしまうような情報が紛れ込んでいることがあるでしょう。匿名であり、知り合いの誰ともつながらないでいる状況なら、正体を知られることはほとんどありません。しかし、誰かとどこかでつながっていれば、いつかは暴かれてしまうかもしれせん。

 人間には感情があります。気分が良かったり、落ち込んでいたり、憂うつだったりと、匿名で隠しているつもりでも、その時の気分が「つぶやき」に現れてしまいます。今自分がいる場所をつぶやいてしまうことあるでしょう。

 うその話に戻りますが、うそでないからこそ、どんな「つぶやき」にも感情や今思っていることがストレートに反映されます。業務目的で広く一般に対して利用するならば、つぶやく中身にも気を使うでしょうが、私的使用においては何ら制限がありません。あるのは自己規制くらいでしょうか。

 機密情報をそのままつぶやくことはないでしょう。しかしその内容は、時系列にある前後の「つぶやき」や文脈から想像できてしまうものです。当の本人は愚痴のようにつぶやくことで、誰かに話をしてスッキリしたような感じになりがちです。でも本当に相手は人間でしょうか……。

 相手が見えないインターネット――特にSNSではロボットが機械的に話をしていることが多くあります。ちょっとしたことをつぶやいても、人間ならば反応しないような内容であっても、ロボットなら反応する場合があります。つぶやきに含まれる文字を拾い出しているからです。実は「ボット」と言われるロボットがつぶやきに返事をしていることがあります。(関連記事

 ロボットは話を展開していくために、「5W1H」のような質問をしてきます。つぶやいた本人にしてみれば、自分のことを分かってくれる相手がいるように感じます。安心したり、共感できたりと、“妙な”つながりをロボットとの間に作ってしまいます。

 ロボットは、言葉のキャッチボールができるような「つぶやき」に返信をすることで、本人の深層心理を引き出すこともできます。ロボットでさえここまでできるのですから、相手が人間だった場合にはどうにもなりません。もちろんこれらのやりとりはインターネット上に残っていきます。

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