ITビジネスに求められる発想の転換Weekly Memo(1/2 ページ)

明日から3月。2010年度の締めへの追い込みと2011年度に向けた仕込みに忙しくなるIT業界だが、今後の市場動向を見据えると、ビジネスでの発想の転換も求められそうだ。

» 2011年02月28日 07時23分 公開
[松岡功,ITmedia]

2011年のITサービス需要は回復基調へ

 政府が2月21日に公表した2月の月例経済報告によると、景気の基調判断は「持ち直しに向けた動きがみられ、足踏み状態を脱しつつある」とし、前月の「足踏み状態にあるが、一部に持ち直しに向けた動きがみられる」から上方修正した。

 基調判断の上方修正は2カ月連続。2008年秋のリーマンショックで落ち込んだ景気は回復局面に入ったものの、昨年10月から「足踏み」状態が続いている。2月は「足踏み脱却宣言」を見送ったが、脱却の兆しは見えてきたと判断したようだ。

 上方修正した理由は、米国や中国などの海外経済の回復に加え、売り上げ好調なスマートフォン需要などを受けた電子部品分野が生産を押し上げたためだ。ただ、先行きには不安要素も出てきている。基調判断では、中東に広がる反体制デモを受け、「原油価格」をリスク要因に加えている。

 こうした中で、企業のIT投資の動きはどうなのか。IDC Japanが2月21日に発表した国内ITサービス市場調査によると、2010年の同市場は前年比1.4%減の4兆9500億円と、2009年に引き続き2年連続のマイナス成長になったものの、2011年には同1.5%増の5兆236億円とプラス成長に回復する見通しだ。(グラフ参照)

グラフ:国内ITサービス市場 投資額予測:2009年〜2015年(注:2009〜2010年は実績値、2011年以降は予測。出典:IDC Japan)

 プラス成長に転じる要因としては、金融機関のシステム統合の需要や、これまで凍結されてきた新規システムの開発、既存システムの更新などの需要回復が挙げられる。

 さらに同調査によると、2012年以降も2%台の成長が続くと予測。ただし構造変化の影響は大きく、2008年以前の3%を超すような成長は、当面は見込めないという。

 その背景として、これまで国内ITサービス市場の成長を牽引してきたITアウトソーシングに成長の鈍化が見られること、大企業を中心にシステム開発予算を国内向けから海外向けにシフトする動きが見られること、などを指摘している。

 低成長が予測される国内ITサービス市場についてIDC Japanは、ベンダーが差別化戦略を採る必要性はこれまでになく高まっているが、サービスにおけるコモディティ化の影響は大きく、個々のサービスでの差別化は徐々に困難になってきていると分析。「例えば、ユーザー企業との協業によるサービス企画や、契約方法の従量課金型および成功報酬型への移行など、ベンダーの総力を挙げた新たなサービス提供の仕組みで差別化する必要がある」(寄藤幸治ITサービスグループマネージャー)と提言している。

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