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» 2011年03月01日 08時00分 公開

会社を強くする経営者のためのセキュリティ講座:最終回 経営視点で考える「セキュリティ VS 利便性」という命題 (2/2)

[萩原栄幸,ITmedia]
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現場で見抜く「セキュリティ VS 利便性」

 学校などで使われる情報処理の教科書には、「セキュリティと利便性は相反する」と記載されています。前述の会社のケースを見れば、本当にそうだと感じてしまうかもしれません。企業経営におけるセキュリティもそのようにとらえて良いのでしょうか。

 私が情報セキュリティの世界に関わって30年が経ちます。この間、経営とセキュリティとのあり方について、MBA保有者やカリスマ的な経営で著名な方まで、さまざまな経営者に意見を求めました。しかし、明確な答えを出せる人はいませんでした。私自身、常に現場の中に両足を突っ込んで泥にまみれながらセキュリティの仕事をしてきましたが、そこで体得した考えは次の通りです。

情報セキュリティとは?

会社を存続、成長、飛躍させるための大きな「材料」として、もしくは破滅に追いやる「爆弾」として極めて慎重に扱うこと。同時に他社、他業態の追撃をかわす、もしくは上位企業に追いつき、追い越すチャレンジ精神の「道具」となる。大胆に「王手」を仕掛けるための重要な駒であり、使い方によって自在に変化する「物」「情報」「精神」である。


セキュリティと利便性の関係

相反するという性質を有するものであるが、共存共栄することを常に意識することが重要となる。企業の目的は利益の追求であり、そのためには常に創意工夫が求められる。セキュリティと利便性の関係についても同様である。机上で論ずることなく、現場で工夫すべきである。


会社を強くするセキュリティとは?

 これまでにさまざまな技術の革新と進化が起こり、企業の活動の幅も飛躍的に広がりました。しかし、顧問やコンサルタントして数多くの企業の現場に入ってみると、ふと思うことがあります。それは、「セキュリティに関しては昔の方が真剣に考えていた個人が多かったのではないか」ということです。

 セキュリティと利便性は相反する――そのような見方から、情報セキュリティを「経費」と見なしてしまう経営者がいます。しかし、企業のビジネスは学校の授業ではありません。今の時代、セキュリティは他社に対して差別化できる数少ない戦略的な「投資」分野だと考えることができます。セキュリティをおろそかにすることで情報漏えいや不正行為などの問題が発生し、状況によっては「倒産」という企業にとって最悪の事態を招くケースも十分に考えられます。

 「セキュリティは難しい」と考えるのであれば、ぜひ経営者の視点でセキュリティをサポートできる真の専門家をパートナーにしてください。彼らは全力で経営者と会社を支援してくれるはずです。「セキュリティと利便性の両立」を実現するアイデア、そして、ビジネスモデルを現場とともに生み出そうと挑戦することが経営者にとって大切なのです。

編集部より

萩原栄幸氏による「会社を強くする経営者のためのセキュリティ講座」シリーズは、今回で終了いたします。装いを新たに春から新シリーズを予定しています。ぜひご期待ください!

萩原栄幸

一般社団法人「情報セキュリティ相談センター」事務局長、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、ネット情報セキュリティ研究会相談役、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格した実績も持つ。

情報セキュリティに関する講演や執筆を精力的にこなし、一般企業へも顧問やコンサルタント(システムエンジニアおよび情報セキュリティ一般など多岐に渡る実践的指導で有名)として活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。


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