Webやメール、アプリからの機密情報の漏えいを防止する。
シマンテックは3月6日、iPad向け情報漏えい対策製品「Symantec Data Loss Prevention for Tablet(DLP for Tablet)」を発売した。モバイル端末管理製品の「Symantec Mobile Management」や情報漏えい対策製品「Symantec Data Loss Prevention」と組み合わせて利用できる。
DLP for Tabletは、iPadアプリや電子メール、Webブラウザからの機密情報の流出を抑止する。Symantec Mobile Managementから管理対象のiPadにVPNで社内ネットワークに接続するポリシーを適用。iPadからの通信の内容を社内ネットワークのプロキシサーバやSymantec Data Loss PreventionのTablet Serverを経由させ、その際に機密情報が含まれているかを確認する。
機密情報が含まれる場合は、通信をブロックするとともに、ユーザーに再確認を促したりポリシー違反の警告や理由などを通知したりできる。個人情報やクレジットカード情報、設計文書、ソースコードから非定形の業務文書までを検知できるといい、検知対象とするデータの条件を容易に設定するためのテンプレートも提供する。
1000ライセンス導入時の参考価格は1台当たり1万1200円(含初年度保守費1700円)。同社では大規模企業や金融、製造分野での利用を見込む。Android OSやスマートフォン向けの同様の製品もリリースする計画だという。
新製品と併せて、米SymantecがApplied Researchに委託して2011年8〜11月に実施した企業のモバイル導入実態に関する調査結果も発表された。日本を含む世界43カ国6275社のIT担当の経営役員や部門責任者から回答を得たものという。
それによると、71%の企業が自社開発のモバイルアプリケーションの導入を検討しているなど、モバイル導入に積極的な企業が多く、業務効率の向上や作業時間の短縮などがその理由という。利用アプリケーションはメールやWebブラウザが中心だが、今後1年以内にSFAやCRM、ERPのモバイル対応を検討する企業が目立つ。既にERPをモバイルで利用する企業は59%に達し、従業員が業務アプリケーションを自分でインストールしたり管理したりできるアプリストアの仕組みを導入している企業は66%に上った。
一方でモバイル機器の運用管理、セキュリティ対策では課題が多いことも判明。従業員にモバイル使用のポリシーやガイドラインに同意を求める企業は59%に上ったが、例えば、44%がソーシャルメディアの利用に何ら制限を設けていない実態が分かった。盗難・紛失対策(遠隔操作でのデータ消去/端末ロック/GPSによる追跡など)やログ管理、バックアップ/リカバリなどのツールを導入する企業はいずれも全体の3分の1程度にとどまった。
過去1年に発生したモバイル機器が関係する損失では33%が生産性の低下、31%が金銭を挙げている。損失金額の平均は、例えば、収益の減少では32万9199ドル、顧客との関係(信頼喪失など)では24万2428ドル、株価の下落では16万9280ドルといった実態が浮き彫りになった。
会見したエンタープライズセキュリティ マーケティングマネージャーの金野隆氏は、「モバイルに期待しても実際には検討すべき項目が多いことが分かる。効果を引き出すには広く活用することが重要で、それを支えるにユーザーの適正な利用や効率的な管理体制、包括的なセキュリティ対策が不可欠になる」と述べた。
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