“正常進化”で2けた成長を狙うEMCのパートナー戦略Maker's Voice

2012年からの3カ年計画で毎年の2けた成長を目指すというEMCジャパン。その中核となるパートナー戦略について執行役員ストラテジー・アライアンス統括本部の中山泰宏氏に聞く。

» 2012年03月19日 09時00分 公開
[ITmedia]

 EMCジャパンは1月に開いた2012年の事業戦略説明会で、代表取締役社長の山野修氏が「Transform(変革)」「Trust(信頼)」「ビッグデータ」の3分野を軸に、毎年の2けた成長を狙うという3カ年計画を発表した。そのためのカギの1つとなるセールスパートナー戦略について、執行役員 ストラテジー・アライアンス統括本部 パートナー・コーポレート営業本部長の中山泰宏氏に聞いた。


―― 2011年のビジネスの成果はいかがでしょうか。

EMCジャパン 執行役員 ストラテジー・アライアンス統括本部 パートナー・コーポレート営業本部長 中山泰宏氏

中山 世界全体では18%、アジア太平洋地域で26%でしたが、日本はさらに良い結果を残すことができました。ストレージのラインアップがローエンドからハイエンドまで広げたこと、また、6年ぶりに刷新した「EMC Velocity ソリューション・プロバイダ・プログラム」によって、パートナー各社が顧客ニーズに合致した製品やサービスを以前より提供しやすくなったことが挙げられます。

 顧客動向をみると、事業継続や災害対策でのバックアップの強化や、サーバの仮想化に伴うストレージの増強などのニーズから、6割がSANとNASによるユニファイド型ストレージを導入しています。特に中堅・中小企業では、例えば重複排除技術を使ってデータの総量を抑制しつつ、中長期的な視点でストレージをどう運用していくべきかを考える傾向にあります。

 プログラムでは販売面だけでなく技術やサポート、トレーニングを含めたトータルでの支援を重視しており、パートナーと一体で顧客に新たな価値を提案できる体制を整えてきました。2011年の大部分をこうした取り組みに費やしましたが、その一部を成果として出すことができたと思います。

―― リニューアルしたパートナープログラムでの特徴はどのようなものでしょうか。

中山 さまざまな施策を行っていますが、例えば、オリエンタルランドの協力で実施したセールストレーニングはパートナーから高い評価をいただきました。東日本大震災の直後に、ディスニーランドのキャストの方々が帰宅できなくなった来園者を力強くサポートしたことがニュースでも取り上げられましたが、「顧客のためにできることを自ら考え行動する」というディスニーランドにおける接客を、講義と実習を通じて学ぶものでした。

 今ではその経験を生かして、パートナーも独自にトレーニングを継続しています。

―― データ分析に代表される“ビッグデータ”などの話題がありますが、2012年の重点施策はいかがですか。

中山 2012年は新たな価値提案ができる準備を進めつつ、これまでの施策についても昨年以上の結果を出さなければなりません。ストレージに対する顧客ニーズとしては、「仮想化」「階層化」「自動化」「重複排除」がキーワードとして挙げられます。今年は昨年から続くニーズに確実に応えること、その上で“ビッグデータ”をはじめとする新領域への取り組みを進めます。

 ストレージではスケールアウトを特徴とするアイシロンが、顧客企業でのデータの増大への対応において重要な役割を果たしますし、ビッグデータを効率的に処理するGreenplumのソリューションも提供しています。

 顧客企業にとっては、ビッグデータをどう活用すべきかが観点になりますが、既に一部のパートナーは当社が米国で提供する「データサイエンティスト(データ分析のエキスパート)」の育成プログラムに参加しており、顧客をどう支援していくかについて検討を開始しています。クラウドやセキュリティでも、これまでの取り組みをより強化してパートナーを支援していく方針です。

 数年来の買収戦略でパートナーが大きく拡大しました。競合製品でのビジネスを手掛けているところもありますが、当社としては既存のビジネスモデルを変えてもらうより、当社との関係を通じてその幅を広げ、新しいビジネスを作っていただきたいと考えています。

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