サービス分野の収益拡大にシフトするEMC、2012年の事業戦略を発表

EMCジャパンの山野修社長は、2014年まで毎年の二けた成長を目指し、サービス関連ビジネスの売上構成比率を50%台に高めると表明した。

» 2012年01月26日 17時19分 公開
[國谷武史,ITmedia]
EMCの山野修代表取締役社長

 EMCジャパンは1月26日、2012年の事業戦略に関する報道機関やアナリスト向けの説明会を開催した。同社の山野修代表取締役社長は今後3年間で毎年二けたの成長を達成し、売上全体に占めるサービス関連ビジネスの割合を半分以上に引き上げると表明した。

 同社は1月から3カ年計画をスタート。この計画では「顧客企業のIT環境の変革や事業開発の支援」「顧客企業にとって“信頼できるアドバイザー”としての地位の確立」「毎年の二けた成長」を目標に掲げる。山野氏は、“Transform(変革)”をキーワードとして挙げ、IT変革やセキュリティ・GRC(ガバナンス、コンプライアンス、リスク)、ビッグデータの3分野に注力すると説明した。

 山野氏がこのような方針を示す理由は、今後の国内IT市場はハードウェアやソフトウェアの販売に依存するビジネスモデルが大幅に縮小し、それに代わって、ITサービスやITを活用した事業開発などの新たな需要の台頭が見込まれるためだという。

 「今の市場規模は10兆5000億円程度で、その大半が従来型のビジネスモデル。2020年にはクラウドサービスや“ビッグデータ”を活用した新規事業開発の支援などがITベンダーに求められるようになり、ベンダーと顧客企業のビジネスモデルを変革していく取り組みが必要」と山野氏は語る。

 事業戦略では具体的に、まずIT変革の分野でクラウドコンピューティング基盤の構築やその支援を行うコンサルティング部門を100人体制に増強。また顧客企業の事業開発を支援するとして、クラウドサービス事業者との協業を拡大した。ITを活用して新規ビジネスを展開したいとする顧客企業に、同社による支援や協業する事業者のサービスなどを提供していく。

 さらに、ITを活用した事業開発支援ではビッグデータ(多種・大量のデータ)を分析して収益拡大につなげることが求められるとして、こうした業務を担う「データサイエンティスト」を呼ばれる専門家の育成にも取り組む。「米国ではその存在が認知されているが、日本ではまだ。統計や分析の能力に加えてビジネスへの深い理解や表現力も要求される、こうした人材を中立的な立場で育成・輩出したい」(山野氏)という。

 ビッグデータの活用事例としては、米国では数千万人の契約者を抱える通信事業者が高い解約率を改善するため、契約者の利用動向を詳細に分析。その結果を基にサービス品質の改善といった対策を講じて、解約率を低下させることができたとしている。

 山野氏は、今後こうしたサービスを主体とする収益拡大を進め、「今は(製品の導入支援など)40%ほどだが、新たな取り組みを加えて50%を超えるようにしたい」と述べた。

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