Google、検索結果に百科事典的情報枠を追加する「Knowledge Graph」を発表

英語版Google検索で人名や地名、映画のタイトルなどを検索すると、検索結果の右側にWikipediaからの情報や地図、画像などの関連情報をまとめたカラムが表示されるようになった。

» 2012年05月17日 08時41分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米Googleは5月16日(現地時間)、ユーザーに従来より関連性の高い検索結果を提供するための新機能「Knowledge Graph」を発表した。英語版のGoogle検索では既に使えるようになっている。

 Knowledge Graphは、クエリに対して単なるキーワードを提示するのではなく、事象とその関連性を提示すると説明する。辞書ではなく、百科事典のような情報を提供するということだ。Googleフェローのアミット・シンハル氏によると、“graph”はギーク用語では存在とそのつながりを表すという(米FacebookはFacebook上のつながり全体を「Open Graph」と呼んでいる)。

 人名や地名、映画など、Googleの「グラフ」が認識している項目を検索すると、検索結果の右側にKnowledge Graphの情報が表示される。

 graph 1 「Larry Page」の検索結果。右のカラムがKnowledge Graph

 Knowledge Graphには現在、5億以上のオブジェクトが登録されており、35億以上のこれらのオブジェクトやオブジェクトの相関情報が蓄積されている。同社が2010年にセマンティックWebのMetawebを買収した際に獲得したデータベースのFreebaseの他、WikipediaやCIA World Factbookなどの一般に公開されているソースを利用しているが、ユーザーによる検索行動を分析することで、関連性の高いデータを提供できるようにしているという。

 複数の意味を持つ単語を検索した場合は、ユーザーが目的としている候補を複数表示し、ユーザーはそれをクリックすることで絞り込める。例えば、「Taj Mahal」のKnowledge Graphには、インドの観光名所(タージ・マハル)の情報が表示されるが、その下にミュージシャンのTaj Mahal(タジ・マハール)のKnowledge Graphへのリンクも表示される。

 graph 2

 入力したクエリに関し、これまでユーザーがその検索の後に何を検索したかを分析することで、クエリによって表示する情報を変えている。例えば作家のチャールズ・ディケンズの検索結果には著書リストがあるが、建築家のフランク・ロイド・ライトでは著書は表示されない。ミュージシャンであれば、ヒット曲やアルバムジャケットの画像などが表示される。

 シンハル氏は、Knowledge Graphの追加は、自然な言葉で語りかけるだけで欲しい結果を高速に提供する「スター・トレック」のコンピュータのような検索サービス実現に向けた小さな一歩だと語った。

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