定義ファイルからクラウドに――ウェブルートがエンドポイントセキュリティ製品を投入

ウェブルートは、クラウド技術を全面的に採用した企業向けエンドポイントセキュリティ製品を発表した。

» 2012年10月03日 14時33分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 ウェブルートは10月3日、企業向けエンドポイントセキュリティ製品「Webroot SecureAnywhere Business - Endpoint Protection」を発表した。従業員数20〜199人の中小企業向けに提案し、2013年6月までに800社での新規採用を目指すと表明した。

 Webrootは1997年に米国で創業し、URLフィルタリングなどのWebセキュリティやマルウェア/スパイウェア対策を中心に手掛ける。同社ブランドでは主にコンシューマー向け製品が有名だが、エンタープライズ向けにも製品を展開しており、CiscoやJuniper Networks、Palo Alto Networks、F5、NECなどとも協業関係にある。

 ウェブルート代表取締役社長の駒林一彦氏によると、同社ではクラウド技術を全面的に活用したセキュリティソリューションの開発に注力してきたといい、今年6月にはコンシューマー向けに「ウェブルート セキュアエニウェア」を発売。企業向けの製品投入はこれに続くものとなる。

 製品発表の会見で駒林氏は、「エンドポイントセキュリティでは定義ファイルベースのマルウェア対策が30年近く続けられてきたが、ネットワークをベースに活動する新規マルウェアが爆発的に増えている現状ではもはや限界にある。クラウドを全面的に活用した新たな対策が必要で、競合他社も同様の流れを取り始めている」と説明した。

ウェブルートの「フルクラウドベースソリューション」の仕組み。同社顧客に加え、企業顧客を多数抱えるパートナーからも脅威情報と対策情報を共有しているという

 製品特徴について製品・技術本部長の村田達宣氏は、「Webroot Intelligence Network」という同社の脅威分析基盤を挙げる。PCなどのエージェントで不審なファイルなどを検出すると、そのハッシュをインターネット経由で脅威分析基盤にアップロードして解析を行い、脅威の有無の判定結果をエージェントに送り返す。エージェント上でもヒューリスティック解析や振る舞い解析、サンドボックス解析などの機能を備え、オフライン環境でも脅威を検出できるようにしている。

Webrootのディック・ウィリアムスCEO

 村田氏はこうした対策技術によった、エージェントのプログラムサイズを大幅に軽量化でき、エンドポイントのコンピュータのパフォーマンスを損なうことなく、最新の脅威をブロックできると強調。「1Gバイト近くにもなる従来のウイルス対策ソフトはあまりに肥大化しており、インストール/アンインストールやウイルススキャン、定義ファイルのアップデートに時間がかかり過ぎてユーザーの業務を妨げている」と指摘した。

 製品発表に合わせて来日したWebroot CEOのディック・ウィリアムス氏は、「日本で長くビジネスを展開しており、脅威解析などのエキスパートもいる。日本市場にはさまざまなビジネスチャンスがある」と話し、国内での事業拡大に意欲をみせた。

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