日本能率協会の調査にみるマネジメントの実態松岡功のThink Management(1/2 ページ)

今回は、日本能率協会が先頃発表した2012年度「当面する企業経営課題に関する調査」の結果から、マネジメントの実態を探ってみたい。

» 2012年11月22日 08時00分 公開
[松岡功,ITmedia]

高まるグローバル化への課題意識

 日本能率協会が先頃、2012年度「当面する企業経営課題に関する調査」の結果を発表した。この調査は、同協会が企業の戦略立案や経営課題解決に役立つ情報を提供するため、1979年から国内主要企業の経営者を対象に、企業経営課題に関することをテーマとして実施してきたものだ。

 今回で34回目を数える同調査は今年8月に実施。全国の上場企業と主に従業員300人以上の非上場企業の合わせて5000社の経営者に対して行われ、548社の回答を得たという。

<strong>図1</strong> 経営者が重視する経営課題(昨年との比較、日本能率協会の発表資料より) 図1 経営者が重視する経営課題(昨年との比較、日本能率協会の発表資料より)

 同調査によると、経営者が重視する経営課題としては、「売り上げ・シェア拡大」が54.9%で昨年に続いて1位だった。2位から4位は、「収益性向上」48.0%、「人材強化(採用・育成・多様化)」40.0%、「新製品・新サービス・新事業開発」23.7%で、いずれも順位は昨年と同じだった。

 経営課題としてどのような内容が挙がっており、昨年とどう変わっているのか、については関心の高いところなので、20位までの経営課題について昨年と比較できる図1を紹介しておく。

 図1をご覧いただければお分かりのように、「グローバル化(グローバル経営)」が昨年6位(17.1%)から今年5位(19.7%)に上昇し、遡れば2009年(7.5%)から増加傾向にある。この動きは、生き残りをかけてグローバル展開を加速させている企業の姿勢を浮き彫りにしたものだといえよう。

 また、昨年との比較では、「財務体質強化」が昨年9位(11.8%)から今年6位(17.0%)と最も上昇した一方、「顧客満足度の向上」が昨年5位(19.2%)から今年8位(15.0%)と最も低下した。この結果だけをとらえると、「顧客満足度の向上」の重要度が低下したようにみえるが、むしろ今回上昇した「グローバル化(グローバル経営)」や「財務体質強化」の経営課題認識が高まったとみるべきだろう。

 そのほか、昨年からポイントが上昇した項目は、13.2%から15.5%になった「技術力の強化」、10.9%から14.2%になった「現場の強化(安全・技術伝承など)」、7.0%から7.8%になった「事業再編(M&A、事業撤退を含む)」、4.7%から5.5%になった「ブランド価値向上」だった。

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