ソーシャル普及でクレーマー化する個人と風評リスク“迷探偵”ハギーのテクノロジー裏話(1/2 ページ)

今回は、TwitterなどのSNSを悪用している一部の人たちの問題についてお話したい。ひょっとして、「気が付かないうちに自分自身もそういう行動をとっていないか?」と振り返っていただければ幸いである。

» 2013年03月15日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

芸能人によるステマ騒動

 昨年は、芸能人による「ペニーオークション詐欺」が有名になった。ここで多くの方が「初めて知った」というのが、通称「ステマ(ステルスマーケティング)」だろう。Wikipediaでは「消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること」と解説されている。

 多額の金銭を貰って「うそ」の宣伝をした多数の芸能人には憤りを覚えるが、個人ではどうだろうか。実はこれも相当な人たちが関与している。個人ブログで人気のサイトをターゲットに絞り、金銭を払って宣伝させているという根拠の確かな記事がネットでは数多く見受けられる。もちろん、大部分の個人ブログは金銭の関与が全くない、本人が心からその事実を良かれと思って紹介している「善良サイト」だろう。ごく一部にそういうステマサイトがあるのは、とても残念である。

 その後、この事件が直接的なきっかけとなりさまざまな告発が相次いだ。大きな事案でいけば、「2chまとめサイトを装った悪質な広告サイト」があり、結局は「VIPPER速報」「ラビット速報」「暇人速報」「マジキチ速報」「オタク.com」「ニコニコVIP2ch」など10サイト以上が謝罪文を掲載した。

ネット先進国「韓国」では?

 ご存知かもしれないが、韓国の状況はもっと悲惨だ。悪質なネット書き込みを繰り返す一部の人たち(専門家や事情通は「悪プラー」と呼ぶらしい)により、SNSの脱退やブログの閉鎖、そして「自殺」という救われないことにもつながっている。だが、個人の「悪プラー」たちにはそれほど罪悪感がないという分析もある。

 このことは、日本における「いじめ」と同じ状況にあるようにも感じる。本人たちは、個人レベルでは「正義を通してなぜ悪い」と思っているからだ。「いじめ」の場合でも、加害者は全くその感情を持ち合わせていない。だから「いじめで自殺」という事件が報道されても、大部分は「そういう陰湿なやつらは許せない」と思われがちである。周囲が指摘して被害者の深刻な感情を伝えないと、本人(もしくは悪プラー)には分からないのかもしれない。韓国ではこうした事案がネット上でだんだんと不気味な感じで増大しているという。

 このため、韓国の大企業に対する「口コミのなりすまし」による誹謗中傷が多い。企業側はネットを常に監視し、自社にとって不利益な書き込み(ブログ、掲示板、Twitter、自社のお客様苦情受付など)をされた場合に、それとは逆の書き込みをして炎上を防いだり、書き込まれた内容を分析してその非論理性を突き、氏名や住所が分かる場合には直接お詫びに行って、その真意を引き出したりする。そのための専門チームを組成して、防御している。

 なにせその書き込みが全くのデマ情報でも、ごく一部のクレーマーからの情報でも、それらの情報がネットに一度でも発散され、炎上にでもなれば、企業にとっては莫大な損害につながりかねない。日本でも一部の企業が同じように対策をしているらしいが、韓国ほど大規模ではないだろう。

国民生活センターへの苦情

 例えば、昨年9月に近畿地方の20代の女性が、「SNSで知り合った人に勧められ、99万円の競馬予想ソフトを買ったが、もうからない」と訴えてきた。

 「友だちになりませんか?」というSNSがきっかけで実際に会うと、「友人」という人物も同席して、お酒を飲んではしつこく勧誘し、その「友人」も積極的に勧めたという。「必ずもうかる」「自分ももうけたのでぜひ紹介したい」などとゴリ押しされ、女性は断わりづらくなって契約してしまった。

 同様のケースで購入ソフトが「競馬予想ソフト」「株式投資ソフト」などさまざまであるが、共通点はそのきっかけがSNSであったという。国民生活センターへの苦情だけで、2011年は427件(当然ながら氷山の一角である)あり、そのうち9割以上が20代の若者だったという。犯人からすると、「数百人も友だちがいる若者は脇が甘く、簡単に友だちになってくれ、こちらの文章を信用しくれる」傾向にあるという。「カモ」になっている若者が大勢いるらしい。

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