「変化は、脅威でもあり、機会でもある」と話すのは、WebSphere事業の責任者を務めるマリー・ウィークGMだ。
Fordのサンカラン氏に続いて登壇したウィークGMは、モバイル、ソーシャルといった顧客とより良い関係を築くためのシステムや「モノ」のインターネットを既存の企業情報システムに組み合わせていくには、次のような5つの原則に沿っていく必要があるとする。
ウィーク氏がステージに引き上げたのは、Fordに負けない創業110年の老舗、オハイオ州デイトンのデパートを発祥とするディスカウントストア大手のTargetだ。
同社もモバイルが主たる顧客接点になるとみて、スマートフォンやタブレットでもシームレスな顧客体験の提供を目指しているが、既存のさまざまなバックエンドシステムに店舗、コンタクトセンター、そしてオンラインをそれぞれ接続する仕組みでは、一貫性の維持が一筋縄ではいかない。
「サンノゼに幽霊屋敷として知られるウィンチェスター・ミステリー・ハウスがある。無計画に38年も建設が続けられたため、どこにもつながっていないドアがあったりする」と笑いを誘うのは、Targetでエンタープライズアーキテクチャーを担当するシニアディレクター、キム・スカンソン氏。
彼女はより良い顧客体験を提供するため、サービス指向アーキテクチャー(SOA)のアプローチとエンタープライズ・サービス・バスであるIBM Integration Busを採用、各チャネルのアプリケーションは再利用可能なサービスを呼び出す仕組みに変えた。
SOAのアプローチによって柔軟性が増し、開発や保守のコストが低減できたほか、システム全体の安定性も高まったいう。「改めて回復力の重要性を学んだ」とスカンソン氏は話す。
もちろん、モバイルの仕組みを整えるだけで顧客により良い体験を提供できるわけではない。顧客中心でビジネスプロセスを見直し、得られた洞察をビジネスのさまざまな場面で活用していく必要がある。
カナダの大手航空会社、WestJet Airlinesは、スマートフォンで常時ネットワークに接続された顧客に予約から旅程を終えるまで、タイムリーに情報を送ることで旅行体験をより豊かなものにしている。1日の搭乗客は5万人に上り、LCCながら創業15年でカナダ第2位の航空会社へと急成長を遂げている。
ジェネラルセッション後のプレスカンファレンスに登場した、同社でエンタープライズアーキテクトを務めるビル・スーリエ氏は、「航空会社はレガシーシステムが多く、WestJetも5年前から更新に取り組んだ」と振り返る。
スマートフォン向けのセルフサービスアプリは、旅行に関するすべてを顧客自身が行えるほか、あるイベントの発生に対し、ルールに基づいて瞬時にアクションまで自動化できるIBM Operational Decision Manager(ODM)の機能を活用し、直前の搭乗ゲート変更もすぐに通知できるという。
「フライトによってはエンタテイメントサービスが提供されないこともある。ゲストを理解し、こうした情報も適切に提供することで、地上職員に相談するよりも確かだと信頼を得ることは重要だ」(スーリエ氏)
なお、IBMがこの日、Impactカンファレンスで発表した主な新製品と製品強化は以下のとおりだ。
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