廉価版iPhoneの急ピッチ製造で下請工場が就労法違反──CLW報告

China Labor Watchの報告によると、Appleが9月10日にも発表するとみられるプラスチックカバーのいわゆる“iPhone 5C”の下請工場が、超過勤務や劣悪な労働環境など、Appleの規範にも中国の就労法にも違反しているという。

» 2013年09月06日 15時07分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米Appleが9月10日にも発表するとうわさされるプラスチック筐体の廉価版iPhoneを製造する中国の下請け工場で、倫理的および法律的な就労法違反が行われているとして、非営利の労働権利団体、China Labor Watch(CLW、中国労工観察)が9月5日に報告書を公開した。

 CLWによると、AppleのiPhone製造を請け負う米製造メーカーJabil Circuitの中国無錫市にある工場で、超過勤務や低賃金、劣悪な住環境など、Appleの規範にも、中国の就労法にも違反する行為が行われているという。同団体は7月にも別のAppleの下請工場での労働環境についても告発している

 Jabilのこの工場では現在、“間もなくリリースされる廉価版iPhone”のプラスチック製背面カバーを製造しており、大量の労働力が必要なため、新たに採用した従業員はわずか2時間のトレーニングの後、現場に投入される。

 CLWがインタビューしたある女性従業員は、iPhoneカバーを機械で磨く単純作業の担当で、1時間当たり90枚のカバーを処理するというノルマが課せられており、午後8時から翌朝8時まで立ったままこの作業をしていると語った。昼食用の30分の休憩は、現場の出入りでの厳しいセキュリティチェック(携帯電話や工具の持ち込み、部品の持ち出しは厳重に禁じられている)や食堂での行列のために、食事に使えるのはわずか5分になってしまうという。

 iphone 5c 中国サイトに掲載された“iPhone 5C”だという画像

 米AllThinegDによると、この報告書に関してAppleは、結果を深刻に受け止めており、独自の調査を行っていると語り、Jabilで一部の従業員が超過勤務していたことが判明したため、Jabilと共に管理向上に取り組んでいるとした。

 Appleはメディア各社に9月10日に開催するプレスイベントへの招待状を送っており、ここで新iPhoneを発表するとみられている。廉価版iPhoneは“iPhone 5C”などとよばれており、プラスチックカバーで6色あるという。

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