クラウドはバズではなくホットワード、クラウドファーストも“当たり前”――日経BP 星野氏ITpro EXPO 2013 レポート

日経BP調査による「第7回クラウドランキング」について同社編集プロデューサーの星野友彦氏が詳細をレビュー。各ベンダーがクラウド市場でのプレゼンスアップにしのぎを削るなか、順位に変動はあったのだろうか?

» 2013年10月09日 17時27分 公開
[石森将文,ITmedia]
3年連続でITpro EXPOメインシアターのオープニング講演を務めるという日経コンピュータ 編集プロデューサーの星野友彦氏

 日経BPが主催する「ITpro EXPO 2013」は、10月9日に開催初日を迎えた。メインシアターでは日経コンピュータ誌の編集プロデューサーを務める星野友彦氏により「最強のクラウドはこれだ」と題した講演が行われた。なお講演の内容は同社調査による「第7回クラウドランキング」を基にしており、ランキングについてはITproの記事で確認できる

 クラウドを取り巻くユーザーの動向について星野氏は「(もうクラウドを)ハズワードとは言わせない。ITの本流である」と指摘する。日経BPおよび日経BPコンサルティングの調査によれば、2010年には「既に利用」あるいは「具体的な利用予定あり」としたユーザー企業は対象の15%ほどに過ぎなかったが、3年を経た今年7月の調査によると「10社に3社はクラウドを利用しており、利用を予定している企業を含めるとその割合は実に40%」(星野氏)だという。

 またその市場についても、「ITマーケット全体としては伸び悩むなかで、クラウドに限れば32%の成長(MM総研調査)が期待されている」と星野氏は話す。

 クラウドの好調を支える背景として星野氏が挙げるのは、高い可用性が求められる基幹系システムでも、クラウドが採用されるようになりつつあるという点だ。「2、3年前にはできなかったことが、クラウド上で実現可能になった。(クラウドの採用により)バランスシートの上にサーバを置くことが不要になれば、企業の負担は軽くなる」と星野氏は話す。「変化の激しい時代だからこそ、クラウドは重要になる」(星野氏)

日本マイクロソフトの存在感アップ。日立、SAPジャパンも大きく順位を上げる

 今回、クラウドのベストブランドとして選出された15社について星野氏は「1位と2位のグーグルとセールスフォース・ドットコムは安泰」と評しつつも「3位以下に変動があった」と指摘する。

日経BP調査によってクラウドのベストブランドに選出された企業一覧(星野氏の講演資料より)

 具体的には、昨年5位であった日本マイクロソフトが日本IBMを抜き、4位に順位を上げている。各項目のスコアを見ると、信頼性・技術力・実績・提案力で日本IBMに一歩譲ったものの、認知度およびマーケティング力で大きくスコアを稼いだ形だ。星野氏は「クラウドベンダーとしてのプロモーションに相当力を注いだ点を評価した」としつつも「技術力も大きく向上したと見ている。新しいエッジの効いたテクノロジーも登場してきた。(日本マイクロソフトの)印象は変わりつつある」と評価する。

 前回の選外から、今回12位に「返り咲いた」と星野氏が評する日立は、国産ベンダーとして気を吐いた格好だ。従来から日立が強みとする信頼性や実績といった項目で手堅くスコアを稼ぎ、加えて認知度も向上した。「日立はクラウドベンダーとして力を付けてきたと見ている」(星野氏)

 今回15位を獲得し、クラウドのベストブランドに名を連ねたSAPジャパンについて星野氏は「大躍進だ」と表現する。昨年の5月、同社の主力であるERP製品がAmazonに対応したことが、同社躍進の要因に挙げられるという。他にもクラウドに適したライセンス体系を導入したり、社内に「クラウドファースト事業部」を設置したりするなどといった取り組みを評価し「(クラウドベンダーとしての)SAPジャパンの今後には大きく期待している」(星野氏)という。

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