同大は2011年、システム刷新に向けた委員会を立ち上げ、新システムの構想と検討を実施。14年春からの新システム稼働を目指してプロジェクトをスタートした。
ネットワーク環境では、約20台のルータで構成していた有線LAN環境を撤廃し、メインルータ1台とスイッチ製品、アクセスポイント製品の組み合わせで巨大な無線ネットワーク環境を構築。その管理もソフトバンク・テクノロジーにアウトソーシングすることで、学内スタッフによる運用負担の最小化を見込むという。
また、最大500人の同時アクセスが可能なアクセスポイント製品(米Ruckus Wireless製)を複数組み合わせることで、「理論上は全ての学生と教職員をカバーできる」という無線ネットワーク環境を構築する。これによりユーザーは、学内のどこにいても1つの共通ID/パスワードで無線LANにアクセスできるようになるという。
ネットワーク環境の刷新に合わせ、業務システムも全面リニューアルする。サーバ約100台で構築していた業務システムを全廃し、複数ベンダーのSaaS(Software as a Service)とPaas(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)を組み合わせた新システムを構築、運用していく計画だ。
具体的には、教職員向けのメールシステムやスケジューラ、オフィスソフトなどはマイクロソフトのクラウドサービス「Office 365」に統一。このほか、SaaS型の学校事務システム「CampusSquare」、就職支援情報システム「Job Hunter」、Webコンテンツ管理システム「HeartCore」といった複数のクラウドサービスを組み合わせて利用するという。
サービス選定のポイントについて、田胡教授は「教職員の多くは以前からマイクロソフト製品を使っているため、移行負担の少なさを見込んでOffice 365を選んだ。それ以外の業務システムは、クラウド上でゼロから開発するよりも専門ベンダーのノウハウを頼ったほうが効率的と考え、担当部署の意見を聞きながらサービスを選んだ」と振り返る。
また今後、マイクロソフトのIaaS「Windows Azure」上にオラクルのデータベース(DB)製品を使って「中核DB」と呼ぶ仕組みを構築する。中核DBには各SaaSシステムのデータを集約して分析し、さまざまな付加価値サービスを提供できるようにするという。
「例えば、学生の成績や出席率などを複合的に分析すれば、将来的には学生1人1人に合わせた課題設定なども行えるようになるはずだ」と田胡教授は話す。
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