名門復活へ――巻き返しを図るノベルMaker's Voice

かつてはLinuxの商用ディストリビューションで名を馳せたNovellだが、日本法人の河合哲也社長は「最近は過小評価されている」と語る。同氏が目指すのは“名門”の復活だ。

» 2014年05月29日 08時00分 公開
[ITmedia]

 Linux普及期の商用ディストリビューションとして企業で広く採用されたのが、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)とSUSE Linux Enterprise(SLE)だろう。仮想化やクラウドの普及でRHELの採用はますます広がり、相対的にSLEの存在感が薄まってしまったようにも映る。NovellおよびNetIQの日本法人社長を兼務する河合哲也氏は、「製品力やブランド力に対して市場の評価が低いのではないか」と語る。

ノベル/ネットアイキューの河合哲也社長

 現在NovellやSUSE、運用管理製品を手掛けるNetIQは、米ソフトウェア企業のAttachmateグループの事業部門として活動している。日本では2社に分かれているが、実際の事業運営は統合されており、4月にSUSE事業部も新設された。河合氏は横川ヒューレット・パッカード(現・日本HP)やボーダフォン、シマンテック、ベライゾンジャパンを経て、2013年12月に着任した。

 名門復活に向けて河合氏は、「オープンソース」「バックアップ/マイグレーション」「認証/運用/ファイル管理」の3つの領域に注力するという。

 オープンソース領域の柱はSLEとなる。SLEは、いまもメインフレームやERPなどのミッションクリティカルシステムで広く採用されており、今後も基幹領域にフォーカスした施策を展開していく。5月19日には同社のOpenStackディストリビューション「SUSE Cloud」に、OpenStackでは初めて高可用性機能を提供した。2014年後半には、SLE最新版のSLE 12もリリースする予定だ。

 「SLEとRHELは競合するよりも、適材適所でそれぞれに特色を発揮していく関係といえる。SLEはプライベートクラウドなどのハイエンドシステムに特化し、ユーザーが求める機能をパートナーとともに提供していく」と河合氏。クラウドではAWSやMicrosoft Azure、Googleなどをサポートし、ハイパーバイザではVMwareやHyper-V、KVMなどにも対応する。こうした形態はアライアンスによる協業の成果だという。

 バックアップ/マイグレーション領域ではNetIQ製品を中心に、ミッドレンジ向けのバックアップやディザスタリカバリのソリューション需要を掘り起こしていく。認証/運用/ファイル管理ではActive Directoryの管理者権限やSSHによるファイル転送、パスワードのセルフリセットなど、各ブランドで提供してきた特徴的なソリューションの拡販を推進していく。

 河合氏によれば、日本法人は2014年3月期に新規ライセンスが6%ほど成長した。2015年3月期は50%増を計画する。「プラットフォーム化戦略のような形ではなくても、顧客に寄り添う製品・サービスを確実に提供することで、この計画を達成できると確信している」(河合氏)

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