IT部門の10年後を予想するリーダーの見方と考察

ガートナーは企業のITリーダーに「10年後のIT部門」を尋ねた。その回答からは自身の役割について模索している現状が浮かび上がってくる。

» 2014年06月05日 12時53分 公開
[ITmedia]

 10年後(2024年)にIT部門はどんな姿になっているか――ガートナー ジャパンが先頃発表した調査結果で、企業のITリーダーはIT部門の役割が明確になっているだろうと考えていることが分かった。この調査は従業員1000人以上の企業のITリーダーに尋ねたものだ。

ITリーダーが予測する10年後のIT部門、出典:ガートナー ジャパン

 調査によれば、回答の上位は「アウトソースとインソースの明確化が進む」「ベンダーへの依存度がより大きくなる」の2つ。これはIT部門がサービスや機能の多くをアウトソースしていくようになるという見方ができるという。

 しかしガートナーは、アウトソースによって自社のスキルやノウハウが流出すること懸念し、社内と外部の切り分けを明確にして社内ITの在り方を検討する場合もあると指摘。またアウトソースは、主にユーザー企業よりもベンダー側が優位(設計・開発している立場から)となるインフラ領域で進み、ユーザー企業のIT部門はアプリケーション領域にリソースを集中させるとの見方もできるとしている。

 また、3位以下の回答からはIT部門にメスを入れようとしている企業が多いこともうかがえるという。それは「IT部門と利用部門を橋渡しする人材の登場」「経営企画部門にIT部門が組み込まれる」の2つだ。

 本来、ITとはビジネスをサポートするツールであり、その活用ではIT部門がビジネスを理解していることが必要であり、理解が無ければITの開発もビジネス効果の把握もできない。ただビジネスに詳しいのが業務部門であっても、IT部門は部門を横断してビジネスを理解できる立場にあり、企業全体を管理する立場の経営企画部門と連携する、あるいは、その中でITをリードしていく重要な役割を担っていくとみられる。

 この調査についてリサーチ ディレクターを務める片山博之氏は、「既存の体制がベストとは考えておらず、IT部門の組織としての価値をどのように高めるべきか、試行錯誤していることが分かる。IT部門は単独ではなく、他部門や外部ITベンダーを含む三者の強みを生かすエコシステムを活用して、自身の価値を最大化する方法を考える」と述べている。

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