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» 2014年06月19日 08時00分 公開

シリコンバレーの街角から:モバイルワークとWi-Fi 米国の今と日本のこれから(前編) (2/3)

[河根拓文(AnchorFree),ITmedia]

日本で公共Wi-Fiは広まらない?

 一方、日本では状況が異なるように思えます。観光庁の「外国人旅行客が困ったこと」アンケートで「無料の公衆無線LAN環境」が1位※2になったように、誰もが「どこでも気軽に」Wi-Fiを駆使するという状況には、いまだなっていないようです。私自身も昨年日本に帰国した際、東京でなかなかネットに接続できる場所が見つからず、やっと見つけたスターバックスではWebsサイトで会員登録を求められて、がくぜんとした記憶があります。ネットにつなげないとそもそも登録できないのにどうしたらいいんだ、と……。

※2 観光庁 http://www.mlit.go.jp/common/000987046.pdf

 背景には、日本のAPは主に携帯キャリアが中心となって、各社の付加サービスの一つとしてWi-Fiを普及させてきたこと、また、パケット定額サービスの普及、ラップトップやタブレットよりもスマートフォン中心の利用状況、高速モバイルネットワークの普及――などが挙げられます。

 さらに重要なのは、インターネットセキュリティに関する考え方の違いでしょう。米国などでは無料の公共Wi-Fiが気軽に利用できる一方、多くのWi-Fiにパスワードすらかかっておらず無防備だということです。自己責任が原則の米国らしいと言えるかもしれません。反対に、日本では何かあったらWi-Fiアクセスを提供する事業者側の責任が問われかねません。それに、ビジネスパーソン(というより企業)を中心に、セキュリティには非常に厳格だと言えると思います。

 しかし、こういった違いがあるからといって日本ではいつまで経ってもWi-Fi利用が広がらないかというと、そうではないでしょう。中期的にはWi-Fi普及を後押しする追い風が幾つも吹いています。現に、主要な携帯キャリアが2014年5月までに合計約85万ものWi-Fiスポットを設置しており※3、ICT総研の調査でも、2016年度には公共Wi-Fi利用者が2011年の3.5倍以上になる※4予測しています。

※3 Buzzap http://buzzap.jp/news/20140522-wifispot-japan/

※4 ICT総研 http://www.ictr.co.jp/report/20131219000054.html

 追い風の筆頭は2020年のオリンピック開催、それに関連した観光立国に向けた政策でしょう。先述のようにWi-Fi難民を出したままでは、世界に誇る“Japan”とは言えません。政府もAPの増加に向けた助成金を出すなどの支援をしています。米国のように登録不要で「どこでも気軽に、どのデバイスからでも」利用ができるようなWi-Fiスポットが増えてくるのは、自然の流れのように思います。

 その良い例が、東京メトロの展開する無料Wi-Fiサービスです。「MANTA」というアプリをインストールし、設定すれば、駅内で自動的にWi-Fiへ接続できます。Webブラウザ経由でメールアドレスを入力するだけでも利用できます。

 さらには各携帯キャリアの通信帯域のひっ迫による「オフロード」、つまり、モバイルネットワークからWi-Fiへのデータ通信の移行推奨が引き続き重視されるはずです。質量ともに充実したWi-Fi環境が整備されて行くものと思われます。

日本のWi-Fi普及予測チャート(出典 2013年度_公衆無線LANサービス利用者動向調査:レポート ICT総研 市場調査・マーケティングカンパニー)
東京メトロのポスター

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