米シカゴにみる、市民参加で地域課題の解決を目指すスマートシティの最前線ビッグデータ利活用と問題解決のいま(2/3 ページ)

» 2014年09月24日 08時00分 公開
[笹原英司ITmedia]

市民と行政の橋渡しをするシビックテックとICT

 スマートシカゴ・コラボレティブの特徴は、IaaS、PaaS、SaaS、GitHubなど、様々なパブリッククラウドのプラットフォームを活用しながら、オープンソースソフトウェアやアジャイル開発に長けた市民エンジニアによるシビックテックを介して、地域の住民・企業と行政機関をつなぐ点にある。

 シビックテックに関わる人材リソースの供給・支援で、スマートシカゴ・コラボレティブのパートナーとして重要な役割を果たしているのが、「コード・フォー・アメリカ」だ。米国では2009年、オバマ大統領が「透明性とオープンガバメント」や「オープンガバメント・イニシアティブ」を打ち出したが、同じ時期、地方政府レベルで、行政機関や市民と連携しながらシビックテックを育成するために、ジェニファー・パルカ氏が創設した非営利組織のコード・フォー・アメリカである。

 高度な技術や経験を持った市民エンジニアを公募し、各地の政府・自治体に派遣するフェローシッププログラムが活動の柱となっている。シカゴでもフェローたちが活躍している。ホワイトハウスとの結び付きも強く、パルカ氏自身が連邦政府のガバメントイノベーション担当技術統括責任者(CTO)補佐を務めた経験を有する。コード・フォー・アメリカの活動は海外へと広がっており、日本でも、「コード・フォー・ジャパン」が国内のシビックテック組織に対する支援を行っている。

cfacfj コード・フォー・アメリカ(左)とコード・フォー・ジャパン

 情報セキュリティ/リスク管理に関しては、シカゴ市のIT部門に情報セキュリティ専門部署があり、シビックテックが関わるプロジェクトもサポートしている。

 流動的な官民連携組織におけるID管理/アクセス制御、自前でコントロールできないクラウドサービスに対する継続的なセキュリティ評価・モニタリング、オンプレミス型の既存システム向けに開発された独自APIを標準的なAPIを持ったクラウドサービスと連携させる際のプロジェクトリスク管理など、既存システムではあまりなじみのない対策も要求される。

 近年、シビックテックで利用されるパブリッククラウドを標的にしたサイバー攻撃が増えているため、事業継続管理の視点に立ったバックアップ対策も欠かせない。

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